# ハインツのジレンマ
## 概要
道徳性の発達段階を測るために用いられる倫理学における思考実験。[[モラルジレンマ]]と呼ばれる道徳教育実践に用いられる。
アメリカの心理学者[[👤ローレンス・コールバーグ]]が提唱した。
## 詳細
### ジレンマの内容
ハインツの妻は重篤な難病にかかる。街の薬局にはその病気に特効薬が置いてある。しかし、あまりにも高額なためハインツは薬を買うことができない。
薬がなければ妻は死んでしまう。このとき、ハインツはどのように行動することが道徳的に正しいだろうか。
ハインツが取ることのできる選択肢は大きく二つ:
1. 薬を買わずに妻が死ぬのを黙って見ていること。
2. 薬局から特効薬を強奪して妻を助けること。
### ジレンマの考え方
この問題はどちらを選んでもその選択を正当化するそれらしい原則がある。
薬を手に入れない選択をする場合、法律を犯してはならないという原則、つまり[[義務論]]に基づく。
薬を盗む選択をする場合、客観的な価値の最大化を目指すべきであるという原則、つまり[[功利主義]]に基づく。
結局のところ問題なのは、この二つの原則のうちどちらがより正しいのか、ということ。
## 関連ノート
- [[📘『生きることは頼ること 「自己責任」から「弱い責任」へ』]]
## 関連リンク
- [難病の妻を救うために、薬局へ強盗に入ることは許されるか(戸谷 洋志) | 現代新書 | 講談社](https://gendai.media/articles/-/135051)
- [心理学用語:コールバーグの道徳性の発達|サイエンス.COM](https://viuoscience.com/the-development-of-morality/)