# ビスタサイズ
## 概要
[[映画のアスペクト比]]の規格のひとつ。歴史的経緯により、**ヨーロッパビスタ**(1.66:1)と**アメリカンビスタ**(1.85:1)の2種類があるが、単に「ビスタサイズ」と言うときはアメリカンビスタのことを指すことが多い。**フラット**とも呼ばれる。
## 詳細
### 歴史
[[20世紀フォックス]]社の[[スコープサイズ|シネマスコープ]]に対抗する形で、[[パラマウント・ピクチャーズ]]社は**ビスタビジョン**(VistaVision)方式を開発した。これは35mmフィルムを横向きに使い、より広い面積に映像を記録することで高画質でワイドな映像を実現するものだった。
ここから上映用プリントを作成する際には、縦駆動のポジフィルムに縮小焼き付けすることになる。その際、[[スタンダードサイズ]]に比べて縦の比率が小さくなるため、画面の上下をマスクして横長の画面を得る。そこで1.66:1や1.85:1の比率が採用されることになった。
アメリカでは1.85:1のアメリカンビスタが一般的であり、ビスタサイズといえばアメリカンビスタを指すことが多い。
しかしヨーロッパでは既存の映画設備の互換性などから1.66:1のアスペクト比が選ばれることが多く、ヨーロッパビスタとして現在でも一部の映画作品で使用されている。
### 主な事例
現代の映画作品ではアメリカンビスタが用いられることが多い。
#### [[🎞️『ジュラシック・パーク』]]
[[👤スティーブン・スピルバーグ]]監督作には[[シネマスコープ]]作品も多いが、本作では人間と巨大な恐竜をひとつのフレームに収めるために、縦方向に狭い[[シネマスコープ|シネスコ]]はなくアメリカンビスタを採用している。
[[『ジュラシック』シリーズ]]は3作目まではアメリカンビスタで撮影されていた。4作目の[[🎞️『ジュラシック・ワールド』]]で[[シネマスコープ|シネスコ]]での撮影を考えたが、前作までとの整合性を持たせるために、ビスタとシネスコの中間に近い2:1の[[Univisium]]を採用した。
#### [[🎞️『ある男』]]
邦画では珍しくヨーロッパビスタを採用している。
>[!cite]
> 石川「フレームをどうするかっていうのは、撮影監督と一緒に考えますね。これまではずっとポーランドのピオトル(・ニエミイスキ)と一緒にやってきましたけど、ヨーロッパでは撮影監督とカメラやフィルムの選択から話し合っていくのは普通のことなので、今回もその想いで近藤(龍人)さんと話させてもらって。最初に(ルネ・)マグリットの『複製禁止』を使おうって決まった時から、これは自画像に近いような作品のイメージになるだろうから、スタンダード(1.33:1)と言う話も出たんですけど。さすがにそれは許してもらえなくて(笑)」
>
> 宇野「スタンダードサイズはやっぱり許されないんですか(笑)」
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> 石川「自分でもそれは『ちょっとやり過ぎなんじゃないか』って思って(笑)。それで、アメリカの普通のビスタよりもちょっと狭いヨーロピアン・ビスタにしようって。昔、短編の時にそのサイズを使ったことがあって、おもしろかったんですよね。アメリカン・ビスタだと普通に心地よく画面に2人が入るんですけど、ヨーロピアン・ビスタだとちょっと狭いので、画面に2人入るとどこか居心地が悪くなるんですよ。そうすると、やっぱりシーンごとに中心になにを据えるかという選択が迫られる。そうすると近藤(龍人)さんの力がぐっと出てくるんですよね」
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> 引用:[『ある男』石川慶監督の端正な手つきが、“日本映画的”な風土にもたらす違和感。その正体とは?【宇野維正の「映画のことは監督に訊け」】|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS](https://press.moviewalker.jp/news/article/1111994/)
## 関連リンク
- [画面アスペクト比 - Wikipedia](https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%BB%E9%9D%A2%E3%82%A2%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%82%AF%E3%83%88%E6%AF%94#%E3%83%93%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%BA)
- [ビスタビジョン - Wikipedia](https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%BA)