# 悪魔の代弁者 ## 概要 ディベートのテクニックのひとつ。 同調を求める圧力などで批判・反論しにくい空気があると、議論はうまく機能しなくなり、健全な思考ができなくなることが往々にしてある。それを防ぐ方法として、自由に批判・反論できる人物を設定すること。 ## 語源と歴史 [[📘『戦略的交渉入門』]]P210より。 悪魔の代弁者の語源は、[[カトリック教会]]で聖人を選ぶ際に、その人物の欠点や問題点を指摘するために任命された[[神父]]のこと。 この役割になると聖人となる候補者に対してその人物の悪行や不行跡について調査し、この候補者が聖人としていかに不適切な人間か、ということを立証しようとする。 これに対して聖人にふさわしいと主張する側からの反論が行われ、この議論を聞いた上で列聖(聖人にすること)すべきかが決定される。 カトリック教会では1587年にこの制度が導入された。この当時、カトリック教会の幹部たち、すなわち[[法王]]や[[枢機卿]]らはみな同じ宗教を信じていて、全員が修道院や教会の中で同じような生活習慣で暮らしていた。だから自分たちが同質的な集団であること、そしてそのような同質的な集団の意思決定の危険性を認識していたのだろう。 悪魔の代弁者を設けることで、意図的に反論を聞く機会を作り、客観的で冷静な判断を目指そうとした。 ## 関連リンク - [悪魔の代弁者 - Wikipedia](https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%82%AA%E9%AD%94%E3%81%AE%E4%BB%A3%E5%BC%81%E8%80%85) - [意思決定の質を高める「悪魔の代弁者」とは? | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)](https://forbesjapan.com/articles/detail/66399)