# 相対主義 ## 概要 人間の認識や評価はすべて相対的、つまり他との関係において成り立つものであるとし、真理の絶対的な妥当性を認めない立場のこと。 例えば人や文化によって価値観は異なり、それぞれの価値観に優劣をつけることはできないと考える。従って、相対主義は「真理」や「価値」が唯一普遍的な基準に基づくものではなく、状況や立場に依存して多様に存在することを強調する。 ## 詳細 ### 古代ギリシアの相対主義 [[ソフィスト]]の[[👤プロタゴラス]]は、[[👤プロタゴラス#『真実』|「万物の尺度は人間である」]]という言葉で知られる。 人間それぞれが尺度であるならば、同じ事柄についてもその人がどう思うか次第で言論が異なりうると考える。しかもそれが「万物」に対して、つまりどんな事柄についても相反する言論が成り立つと、彼は主張したといわれる。 このことから[[👤プロタゴラス]]は相対主義の祖として位置づけられている。 相対主義は「絶対的な真実は存在しない」と主張するが、この主張自体が絶対的に正しいのかは当時から問題とされた。 もし絶対的に正しいなら相対主義に反し、そうでないなら反対の主張も正しいことになり、自説の根拠が失われる。こうした自己矛盾の問題は古くから[[👤プラトン]]などによって指摘されている。 ### 近代の相対主義的な考え方の始まり 19世紀から20世紀初頭にかけて、科学技術による産業革命を成し遂げた西洋諸国は自分たちの文明こそが普遍的な価値を持つと信じてアフリカやアジアを侵略し、植民地支配を進めた。 しかし20世紀初頭、植民地を巡る争いは西洋諸国同士の全面衝突を招き、[[第一次世界大戦]]を引き起こす。普遍的価値を体現するはずの文明国家が、他国民を殺戮し、多くの自国民を死に追いやったのである。しかも科学技術は機関銃や戦車、毒ガスなどの残虐な大量殺人兵器を生み出していた。 こうした経緯を通じて、西洋文明の価値観が本当に普遍的なのだろうかという疑念が芽生える。 戦後、ドイツでは[[👤マルティン・ハイデガー]]らにより[[実存主義]]が現れ、普遍的な真理よりも個人の具体的な生の在り方を重視する思想が広がった。また国際政治においても「民族自決」の原則が掲げられ、各民族は文化的・人種的背景の違いを理由に、それぞれの国家を持つ権利があると主張される。これは文化的な多様性を認める姿勢の萌芽といえる。 そして[[第二次世界大戦]]後には、植民地諸国が次々と独立を果たし、「それぞれの地域の文化や文明には西洋文明と変わらない価値がある」という主張が力を持つようになった。こうして西洋文明的な考え方を相対化する視点が強まり、哲学や諸学問において相対主義的な考え方が広く展開されていった。 ## 関連ノート - [[📘『「みんな違ってみんないい」のか? 相対主義と普遍主義の問題』]] - [[📘『懐疑論 古代ギリシアからデカルト、陰謀論まで』]] ## 関連リンク - [相対主義 - Wikipedia](https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9B%B8%E5%AF%BE%E4%B8%BB%E7%BE%A9)