# 言語的相対論 ## 概要 言語の違いが、話者の思考や世界認識に影響を与えるのではないか、という考え方。 「どのような言語によってでも現実世界は正しく把握できるものだ」とする立場に疑問を呈し、言語はその話者の世界観の形成に関与することを提唱する仮説である。 その仮説にも、「言語が思考を決定づける」とする「強い仮説」の論者から、「言語が認識に影響を与えることがある」という程度の「弱い仮説」の論者まで幅広く、また仮説に対する異論も多い。 文化人類学者の[[👤エドワード・サピア]]と、彼の弟子である言語学者の[[👤ベンジャミン・ウォーフ]]の研究から発展した仮説であることから、サピア=ウォーフ仮説とも呼ばれる。 ## 詳細 ### 色カテゴリーの認識について議論 [[📘『新版 「色のふしぎ」と不思議な社会 2020年代の「色覚」言論』]]では、色カテゴリーの議論における言語的相対論の研究事例として、2007年に[[マサチューセッツ工科大学|MIT]]のグループが行った実験が紹介されている(P204)。 前提として、英語では「青:blue」とされる色に対して、ロシア語には「明るい青:Голубой (goluboy)」と「暗い青:синий (siniy)」とで区別するそれぞれの色名の語彙がある。 そこで被験者に青い正方形の図形を3つ見せる。そのうち2つは同じ色で、1つだけ別の色である。 ここで同じ色の2つと仲間はずれの1つを「明るい青」と「暗い青」をまたぐように設定すると、ロシア語の話者は「仲間外れ」の色をより素早く見分けられるが、英語話者だと他のパターンと処理速度が変わらないという実験結果が得られた。 この実験では、言語の色カテゴリーの違いが色の識別に影響を与えることがあると結論づけている。 ## 関連ノート - [[📘『新版 「色のふしぎ」と不思議な社会 2020年代の「色覚」言論』]] ## 関連リンク - [言語的相対論 - Wikipedia](https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A8%80%E8%AA%9E%E7%9A%84%E7%9B%B8%E5%AF%BE%E8%AB%96)