# 2025-01-11 [[🎞️『I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ』]]を観る ## 感想 劇場で鑑賞。 ![Xユーザーのこーしんりょー@SpiSignalさん: 「『I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ』観た。大切なことはすべて映画やフィクションで学んだが、その学びを活かすリアルがない。青春映画は痛ければ痛いほど加点する僕でも本作は痛すぎる。でもリアルは思うよりもそんな痛さを許容してくれる物なのかもしれないと思った。」 / X](https://x.com/KO_SHIN_RYO/status/1877987766295785473) 映画オタクの高校生ローレンスの七転八倒を描く青春コメディ。 ### 田舎・郊外のオタク 本作について個人的に感情移入してしまったポイントは、田舎や郊外に住むオタクはかつて浮いていた、ということだ(今はどうかよく知らない)。 私がオタク趣味に走り始めた時期と、本作で描かれる時代はそれほど離れていない。私も田舎住みで、それなりにオタクな友達はいたがやっぱりローレンスのように浮いていた。[[🎞️『桐島、部活やめるってよ』]]の映画部もそうだが、「周りから浮いたオタク(ナード)描写」は、効く。 それでも私はさすがにローレンスほど空気を読めなくも、ミソジニーをこじらせていてもなかったぞ。と自己弁護してみるも、成長したローレンスを映すラストシーンを見て今度は大学時代にもやっぱり浮き気味だった自分を思い出してしまいまた辛くなっちゃった。 ### 時代性 [[🎞️『パンチドランク・ラブ』]]を劇場で鑑賞するシーンがあることから時代は2002年だろうか。 一方で、ローレンスのバイト先の店長アラナのエピソードは[[🎞️『SHE SAID シー・セッド その名を暴け』]]で描かれた映画業界の暗部そのものだ。本作が[[MeToo運動]]以降の2020年代の映画であることを意識させられる。 この時代ギャップがローレンスの無自覚なミソジニー性の痛々しさを倍加させているように思う。彼が挫折を味わうきっかけが男性の友人であり、そして前に進めるようにサポートしてくれた人物がみんな女性(バイト先の店長、母親、同級生女子)というのもやはり今っぽい。 ### 優しさに気づくこと オタクはフィクションから多くの大切なことを学ぶが、その学びを活かせるリアルにちゃんと時間をかけて生きていない。 だから、リアルの人々は案外いろいろな「やらかし」を許容してくれる、ということを忘れがちだ。特にこの世の不寛容を煮詰めたような現代SNSに入り浸っているとますます他人を信じられなくなる。私も数年前にうつ病で相当周囲に迷惑をかけてしまったが、それでも今生きていけないような状況にまで陥っていない。いろいろな人に助けられた。 本作のローレンスが生きる環境を見ていると[[「あなたの周りの世界は…あなたが思うより、ちょっとだけ、優しいよ?」]]というエロゲーマーに有名なセリフや、映画ならば[[🎞️『シン・エヴァンゲリオン劇場版』]]などを連想してしまう。 私もようやっと、この「優しさ」に気づけるオタクになってきたように思う。あるいは、私のようなオタクでもその「優しさ」に気付けるようになったくらい、世の中の改善が進んだということなのかもしれない。 ## 情報 ![[🎞️『I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ』#予告編]] ![[🎞️『I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ』#主要スタッフ]] ![[🎞️『I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ』#関連リンク]]