# 2025-01-17 [[🎞️『サンセット・サンライズ』]]を観る
## 感想
劇場で鑑賞。

### コロナ禍ノスタルジー
「[[コロナ禍]]ノスタルジー」という、これまで結びついたことのない言葉同士が私の脳内でくっついた。
「ノスタルジー」とはちょいとキレイな言葉すぎやしないかい? と自らツッコミを入れながら、2020年3月からはじまるこの映画を観た。
そうそう、[[コロナ禍]]初期は東京から地方へ移動することも気を使う必要があった。過去に追いやられた記憶が掘り返される。思い出される。別にそれは嬉しい記憶なんかじゃないけれど、懐かしいとは思ってしまう。そうか、[[コロナ禍]]はもう過去になったのか――。
そんなことをぼんやりと思ったところで急ブレーキがかかる。
本作の舞台は宮城県の港町。そこに暮らす人たちはまだ[[東日本大震災]]による津波被害の影響下にある。[[コロナ禍]]が過去になったのならば、311も過去になったのか? そんなはずはない。
だから観ていくうちに[[コロナ禍]]も過去になったなあと心中で懐古してみせた自身の不誠実を恥じることになった。
### 当事者と部外者
私は[[東日本大震災]]で被災もしていなければ、コロナと診断されたこともない。当事者性がなく、[[🎞️『すずめの戸締まり』]]における重要なセリフ、「こんなに綺麗な場所だったんだな」と言ってしまう側の人間だろう。
この当事者でない、部外者だからこそ見えてしまう・言えてしまう感覚を直近に抱いた覚えがあるぞ、と思い出したのが[[🎞️『どうすればよかったか?』]]だ。今年の個人的テーマとして、いろいろな作品を観るたびに[[🎞️『どうすればよかったか?』]]を思い出しそうだ。
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<p class="link-card-title">2025-01-11 🎞️『どうすればよかったか?』を観る - SpiSignal</p>
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2025-01-11 🎞️『どうすればよかったか?』を観る - SpiSignal
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本作[[🎞️『サンセット・サンライズ』]]で東京から移住してくる主人公の西尾晋作([[菅田将暉]])はまさに部外者の立場。勤務先がフルリモートに移行したことを良いことに、家賃6万円・4LDKという超好条件で趣味の釣りも堪能できる宇田濱町へと引っ越す。
地元住民たちとの交流は愉快だが、次第にお話は「取り残される地方」の問題に。
ひょんなことから宇田濱町の空き家問題に取り組むことになった晋作。隣に住むおばあさんが亡くなり、残された家をどうするかというエピソードがある。
すでに都会に出ているおばあさんの息子は、家のものはすべて処分しようと考える。しかし思い出の品々を見ていくうちに気が変わっていき、やっぱり捨てられないと気が変わる。
このエピソードは同じく地方から東京へ出た私としても耳が痛い話だ。もちろん、過去の思い出を残したいという気持ちもあるだろう。加えて私は、親元を離れて放ったらかしにした母親への後ろめたさもこの息子から感じ取った。案外近い未来の自分の姿かもしれないぞ、と。
地味なシーンかもしれないが、ここが一番印象的だったかもしれない。
次第に物語は大家の関野百香([[井上真央]])との関係が描かれていく。来てすぐに生活ができる程度に家具もそろった家を貸し出す彼女の過去に触れたとき、晋作は自らの部外者性に直面する。
[[東日本大震災]]や空き家問題の当事者と部外者が一同に介するクライマックス。彼が発する「どうでもいい!」という台詞が刺さる。本当はどうでもいいわけがない。それでも、この瞬間だけは優先順位が違うだろうとワガママを貫き通すところが良かった。ふたりのワガママ同士がぶつかり合って、収まるべきところに収まる着地も好ましい。
ハートフルなところもあるが、基本は[[宮藤官九郎]]脚本らしい、癖のあるキャラクターたちが織りなす笑えるコメディだ。
多くの釣りシーンや数々の魚料理もたまらなく、腹が減る映画=いい映画であった。
## 作品情報
![[🎞️『サンセット・サンライズ』#予告編]]
![[🎞️『サンセット・サンライズ』#主要スタッフ]]
![[🎞️『サンセット・サンライズ』#関連リンク]]