# 2025-01-24 [[🎞️『ゴールドフィンガー 巨大金融詐欺事件』]]を観る
![[ネタバレ#^warning]]
## 感想
劇場で鑑賞。

### 香港映画づくしの2025年1月
[[🎞️『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』]]に続いて80年代香港が舞台の映画だ。
>[!check]+
> [[2025-01-18 🎞️『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』を観る]]
[[🎞️『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』|🎞️『トワイライト・ウォリアーズ』]]ではスラム街を舞台に武器と拳を交わす男たちの絆が描かれる映画だった。
対して[[🎞️『ゴールドフィンガー 巨大金融詐欺事件』]]はきらびやかビル街を舞台に、取り調べという形式でひたすら向かい合う二人の男の関係性が描かれる。
同じ時代、同じ国。それなのに好対照な二作を同時期に観られるのはなんとも贅沢だ。
### 香港版[[🎞️『ウルフ・オブ・ウォールストリート』]]?
何を隠そう[[🎞️『ウルフ・オブ・ウォールストリート』]]は個人的にオールタイム・ベスト映画のひとつである。
そして本作は明らかに[[🎞️『ウルフ・オブ・ウォールストリート』]]をオマージュした作風だ。
[[トニー・レオン]]扮するチン・ヤッインは無一文で香港に不法入国し、土地転がしや違法取引で成り上がり、多国籍企業グループを創設。一躍時の人となる。
その成り上がりっぷりが凄まじい。金のあるところに人が集まり、情報が集まる。しかしその金の使い方はと言えば、金ピカの社内、怪しげな骨董品、人気モデルを集めたストリップパーティーなど、豪華絢爛といえば聞こえはいいが、なんとも悪趣味だ。
[[🎞️『ウルフ・オブ・ウォールストリート』]]では[[レオナルド・ディカプリオ]]が実在の人物である[[ジョーダン・ベルフォート]]をいかにも薄っぺらなで欲に塗れた愚かな成金として演じている。一般庶民な私はそんなレオ様を見てどこか安心する。金はなくとも、彼ほどの浅はかさには堕ちてやいないぞと。
[[🎞️『ゴールドフィンガー 巨大金融詐欺事件』]]も中盤まではそんなテンションで進行していくのだが、後半に入ってからトーンが変わる。チン・ヤッインは[[ジョーダン・ベルフォート]]とは全く異なるタイプの悪であることが明るみになっていく。
[[🎞️『ウルフ・オブ・ウォールストリート』]]っぽさ期待していたらそれが「振り」であったというように、チンは我々を嘲笑う。
### 役割を演じ続ける
チンは取り調べに際して、自分は資本主義という舞台の上で天から与えられた役割を演じているに過ぎないんだと述べる。
彼が犯した罪の途方もない規模がはじめて明かされた直後の台詞であり、このときはまだ成り上がり者の悲哀を感じさせる台詞だった。しかし、この台詞の意味合いが終盤に向けて一変していくところが本作の肝である。
そんな彼と同じ舞台の上で十数年に渡って「チンを追い詰める役」を演じた捜査官ラウ。
彼だけは舞台から降りずにその役割を演じきったからこそ、それに費やした時間には決して見合わない「些細な勝利」を手に入れる。まさか、こんなに苦い味わいの結末になるとは。
## 情報
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