# 2025-01-25 [[🎞️『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』]]を観る
![[ネタバレ#^warning]]
## 感想
劇場で鑑賞。舞台挨拶付き。

### 王道じっとり系[[Jホラー]]
失踪した弟、その姿が消える直前までを映したビデオテープ。呪物と呼ぶにふさわしい不穏さだ。
母親から送られてきたこのビデオテープをきっかけに、主人公の啓太、ルームメイトで霊感の強い司、そして記者の美琴の三人が弟が消えた山へと導かれていく。
ポストにも書いたが非常にじっくり、ゆっくりとしたテンポだ。ひとつのショットの中でも不自然にならない程度の間が適宜差し込まれ、画面の暗さもあり正直眠くなる。
しかしこのテンポがこの映画には必要だ。画面の隅々から発せられる「次の瞬間に何かが起きそう」という不安感が、このテンポにより常に引き延ばされていく。各ショットが持つ力に自信があってこそ成り立つ、あえてのスローテンポだ。
ヤバい山に現れる「存在しないはずの廃屋」。クライマックス、三人はこのお化け屋敷へと迷い込み、それぞれが抱える恐怖心と対峙する。
強烈なホラーモンスターが現れるといった分かりやすい作りではないが、このジメジメとした恐怖の煽り方に[[Jホラー]]の王道を見た。
### 視点の数だけ世界があるのか
登場人物たちがそれぞれに恐ろしい目に遭う。その現象には理屈があったりなかったりするのだろうが、個人的には「視点」にまつわる理屈付けに興味を持った。
本作は劇映画であるが、途中、ビデオテープの映像そのものがスクリーンに映写される。フィクションを演じる役者をカメラでとらえたショットと、ビデオテープの映像はこの映画においては等価だ。そして、ビデオテープの映像もまた、カメラにとって撮影されたものである。
カメラが[[🎞️『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』]]の作中世界を切り取る装置であると考えるならば、ビデオテープの映像も確かにの作中世界の一部だ。しかし、ビデオならではの独特な風味の映像は、それ以外の映像とは質感が全く異なる。まるで異世界だ。
異世界であるならば、そこへ迷い込むこともできる。==「幼き日の啓太が持っていたビデオカメラ」という視点が生じさせた異世界==は、個人的に本作でもっともおぞましいものに感じた。
気になる「視点」は他にもある。「これはいったい何の・誰の視点?」と混乱したショットは作中にいくつか存在するので、そこに注目して観てみるとまた面白い発見がありそうだ。
### 舞台挨拶
舞台挨拶に登壇したのは総合プロデューサーの[[清水崇]]さんと監督の[[近藤亮太]]さん。
子供のときに怖かったものが、大人になるとそれほどでもなく感じるという感覚についての話が面白かった。
子供のときに味わった恐怖心を、大人になってもまた味わいたいという欲求。それが新しいホラー表現を生み出す。[[清水崇]]さんが発した「**サステイナブル(持続可能)な恐怖**」というキーワードは、その言葉の組み合わせのおかしさと同時に、今も続々と新しいホラー表現が生まれる理由の一端を端的に示しているように思った。
## 情報
![[🎞️『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』#予告編]]
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