# 2025-02-05 [[🎞️『おんどりの鳴く前に』]]を観る
![[ネタバレ#^warning]]
## 感想

### ルーマニアの村怖い映画
小さな村で起きた殺人事件。主人公はその村で唯一の警察官イリエ([[ユリアン・ポステルニク]]) だ。
村には若い警察官ヴァリ([[アンゲル・ダミアン]])が着任したばかり。血気盛りなヴァリはこの事件を解決しようと調査するのだが、イリエはある事情から穏便に済ませたい。この衝突から村の腐敗が徐々に明らかになっていくサスペンス映画である。
小さな村での事件を描いた映画ということで、ジャンル的にはこないだ観たばかりの[[🎞️『嗤う蟲』]]と被るところがある。
日本もルーマニアも、どこの場所であっても、小さなコミュニティに生じた腐敗はなかなか正されることはない。権力の暴走はいつだってどこでだって見て見ぬふりされてしまうものなのか。
>[!check]
> 「からすの鳴く後に」というタイトルでもいけそうな[[🎞️『嗤う蟲』]]の感想は以下のノートから。
> - [[2025-02-02 🎞️『嗤う蟲』を観る]]
### 善良な人々
原題は『Oameni de treaba』、直訳すると「善良な人々」だ。
しかしその村の中核にいる村長や神父は善良とは程遠いことがだんだんと分かっていく。[[中年の危機]]真っ盛りで、果樹園をはじめて人生を取り戻そうと考えているイリエもまた、その弱みを利用されて腐敗の一部として取り込まれそうになる。
はじめ、観ていてイリエという人物がよく分からない。村の駐在としてまったくやる気がなく、ヴァリに対しても当たりがきつい。たよりなく、すぐにでも腐敗に取り込まれ、悪事にも見て見ぬふりをしてしまいかねない様だ。
ところがある事件がきっかけに彼の正義が揺り動かされる。そこで明かされるイリエの過去から物語はドライブし、クライマックスへとなだれ込む。
登場人物たちはどれも「善良な」人々とは言えないが、「普通な」人々ではある。
普通な人々は、しかも多くがただのおじさんなので、そのアクションはなんとも鈍臭くでグダグダだ。ある意味で「誰も観たことがないクライマックス」に思わずニッコリ。
隣りにいそうなしょぼい悪党、隣りにいそうなたよりない英雄、そして隣で起こっていそうな鈍臭い暴力。
遠い国の映画であるが、非常に「リアル」を感じる一作であった。
## 情報
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