# 2025-02-08 [[🎞️『ショウタイムセブン』]]を観る
![[ネタバレ#^denger]]
## 感想
劇場で鑑賞。

### イカれたリメイク
私は本作を鑑賞するにあたって、前日にリメイク元の[[🎞️『テロ、ライブ』]]を観た。
>[!check]
> - [[2025-02-07 🎞️『テロ、ライブ』を観る]]
個人的には、直前にリメイク元を観たのはかなりプラスに働いた。そもそも[[🎞️『テロ、ライブ』]]が評判にたがわず面白い映画だったので、これだけでそれなりに元が取れている、ということもある。
しかし、[[🎞️『テロ、ライブ』]]を事前に観たことで(どこまでが制作側の意図かは断言できないが)[[🎞️『ショウタイムセブン』]]の意図した面白がり方をすることができたと思う。
これは、ただのリメイクではない。イカれたリメイクだ。
### 日本版リメイクでできること
ずばり、[[🎞️『テロ、ライブ』]]と比較して面白いか? と言われたら、絶対にオリジナルのほうが面白いと断言できる。
とにかく予算規模の差を感じる二作だ(実際の制作費は調べていないが)。
「爆破テロ犯から電話を受けたラジオパーソナリティーが生放送で交渉をするシチュエーションスリラー」というコンセプト。
オリジナルの[[🎞️『テロ、ライブ』]]はそのコンセプトから想像される規模を大きく超えた展開に驚かされる。
対して日本リメイクの[[🎞️『ショウタイムセブン』]]はその想像のうちにすっぽり収まる。[[🎞️『テロ、ライブ』]]と比較したら誰が見てもこじんまりとした印象を受けるはずだ。私も観ながら「しょ、しょぼい……」と何度か小声で呟いたことを告白しよう。
しかし、その鑑賞中に感じた「しょぼさ」は、本作を結末まで観たあとだと意図的なものだと確信できる。
本作は「テロ、ライブ」ではなく「ショウタイムセブン」だ。タイトルからワイドショー色を強めたのは単なる日本的な味付けではなく、==[[🎞️『テロ、ライブ』]]のコンセプトをテコにして日本的ワイドショーの風刺をやる==ためだ。
つまり、映画館でワイドショーを流す。はなから[[🎞️『テロ、ライブ』]]のような映画的な面白さを求めるなんてのはナンセンスだったのだと、エンディングで[[Perfume]]のパフォーマンスを見ながら思い至った。
### 中盤までの忠実さ、後半からの暴走
本作は、中盤まではかなり忠実にリメイク元をなぞっている。
[[阿部寛]]演じる主人公・折本の境遇から飲み物で口をゆすぐアクションなど、リメイク元からの細やかな完コピにニヤニヤできるところも多い。
大きなアレンジ点は、タイトルにある「ショウタイムセブン」というワイドショー番組へと舞台が移るところだ。これは日本の放送文化を反映したアレンジ、味付けの範囲かと最初は思ったのだが、実はこのポイントこそが今回のリメイクでやりたい軸だったのだ。
舞台をラジオ番組からテレビ番組へと移り、[[🎞️『テロ、ライブ』]]でいうところの警視庁長官に当たる人物が登場してから、おやおやおやとなってくる。ここから明確にリメイク元と比べて「しょぼさ」が際立ってくる。
その「しょぼさ」は爆破テロ犯の要求にも表れる。リメイク元では一貫して大統領の謝罪を求めて、行き着くところまで突っ走ってしまう。しかし本作では始めの要求からどんどんと移り変わり、スケールダウンしていく。最後の要求の「しょぼさ」は誰もが認めるところだろう。
そんなしょぼいクライマックスを終えた後、本作は完全に暴走する。[[🎞️『テロ、ライブ』]]のリメイク作品である[[🎞️『ショウタイムセブン』]]という映画は、ワイドショー「ショウタイムセブン」に完全に乗っ取られる。
メディアが製造する「面白い見世物」。刺激的であればあるほどその商品は数字が取れて金となる。だから民衆を煽る手法もヒートアップする。たとえばテロリストに主張の場を設けるという、リメイク元から引き継がれる本作のコンセプトのように。
しかし人々はすぐに刺激に慣れてしまう。だからメディアは次の「面白い見世物」を絶えず製造し続ける。誰かの不幸を素材にさらに刺激的なネタへと仕立て上げる。それをどんどん流し込まれる我々民衆は、情報中毒に陥ってすぐに直前まで関心を持っていたことすら忘れて次の情報を求める「飼い猫」へと堕ちる。
ありきたりな現代メディア批判だ。現在、まさに世界中からの批判にさらされているフジテレビのような「面白い見世物」の製造者たちが犯す罪を暴き、民衆に警鐘を鳴らす映画だ。
はっきり思った。余計なお世話だ。んなこた分かっている、という話である。本作自体がその構造を内側から支えている、という自己批評的な皮肉も含まれているのかもしれないが、自己批評はそれ自体が(せめてリメイク元程度に)面白くなければサムイだけである。
だけど、その心意気は好ましい。[[🎞️『テロ、ライブ』]]という題材を用いて、こんなイカれた企画が通った事実にジワジワとくるものがあった。

### そもそもリメイク元の内容は日本では無理
(後で書く)
## 情報
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