# 2025-03-08 [[🎞️『デビルズ・ゲーム』]]を観る
![[レーティング#^r-15]]
![[ネタバレ#^warning]]
## 感想
劇場で鑑賞。

### バイオレンススリラー × ボディチェンジ
わざわざ改まって言うまでもないことだが、二者の心と体が入れ替わるなどという現象――ボディチェンジは現実では起き得ない。だからこれは映画(フィクション)が吐くウソだ。
ふたりの俳優が、互いの役を交換することで画面に顕現する不思議な出来事であり、不思議だからこそ観客の興味を引く。
[[🎞️『デビルズ・ゲーム』]]では若い連続殺人鬼と、ベテラン刑事の心と体が入れ替わる。
逃走劇を繰り広げた末に一ヶ月間謎の失踪を遂げた殺人鬼のジニョク([[👤チャン・ドンユン]])と刑事のジェファン([[👤オ・デファン]])がその不思議な出来事に巻き込まれる。
すでに死んだものと思われていたジェファンが生存していたことに沸く周囲の人々。
しかし、ジェファンの中身はジニョクだ。逆にジニョクの中身に入ったジェファンを脅して個人情報や各種パスワードを奪い取ったジニョクは、ジェファンとして生活を送りながら、自らを裏切った殺人グループの犯人を追うためにジニョクの身体を持つジェファンを利用する。
なんともややこしいストーリーラインだ。このややこしさをなんとか観客も理解できるように成り立たせているのは、俳優二者が互いの役を交換して熱演するというガンバリである。
### 制作会社ザ・コンテンツオン
そんな大ウソ映画を仕掛ける制作会社は[[ザ・コンテンツオン]]。同じく[[👤チャン・ドンユン]]が実質主役を務める快作[[🎞️『オオカミ狩り』]]の会社だ。
[[🎞️『オオカミ狩り』]]の内容は、極悪犯罪者たちと彼らを護送する警察官たちを乗せた貨物船に隠された謎の怪人(?!)が覚醒し、閉鎖された船の中で[[バトルロイヤル]]を繰り広げるというもの。「斜め上」という言葉がふさわしい強引な展開で、血みどろバイオレンススリラーの皮を被った爆笑コメディというのが私の評価だ。
そして、その評価は本作[[🎞️『デビルズ・ゲーム』]]も同様である。
このややこしくて、よく分からない混迷したボディチェンジ・シチュエーションが生み出す理解困難さの末に、もう笑うしかないクライマックスを導き出す。
### エンタメのためなら設定や物語など二の次、三の次
ボディチェンジというこの世にない現象を描くうえで、少なくともこの映画の作中では成り立つような、観客に対する言い訳としての説得力のある設定が必要だ。
本作が参考にしただろう[[🎞️『フェイス/オフ』]]では最新の外科手術により二者の顔を入れ替えるという内容だった。
それはそれでツッコミどころはいくらでも生じるということで、たとえば[[🎞️『君の名は。』]]では思いっきりファンタジーな設定に振り切って現実的・科学的なロジックを避けた上で二者の入れ替わりを実現した。
はてさてそれでは[[🎞️『デビルズ・ゲーム』]]はいったいどのような大ウソを……?
その設定が明かされたとき、ある人物が「面白くなってきただろう」というセリフを言い放つ。これは明らかに観客に向けてのセルフツッコミだ。そして、明らかにここから本作はアクセル全開で突っ走り始める。
種明かし後はもう細かい設定の整合性などはかなぐり捨てて、この設定をダイレクトな「オモシロ」に転換することに特化させていくのだ。設定を明かされた後になって考えると、物語的にある登場人物が取る行動は明らかに「アホ」なのだが、それはコントにおけるボケに等しい。
そう、本作のクライマックスはもはや「**コント・もしも殺人鬼と刑事の心と体が入れ替わったら!**」なのである。
正直言うと、映画序盤の殺人鬼側のサイコパス描写や警察描写のなんとも漫画っぽいリアリティのなさから「この映画大丈夫か……?」と白けていた。
まさか、そこからあのクライマックスに着地させるとは。序盤の白けから、終盤の高揚感への温度差は、もう体を壊しかねない。最高に笑ったバカ映画である。
## 情報
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