# 2025-03-22 [[🎮️『STEINS;GATE』]]をプレイ 1 ![[ネタバレ#^warning]] ## プレイ進捗 今月からボチボチプレイをしている。現時点でプレイ時間15時間ほど。 「**Chapter5 時空境界のドグマ -Dogma in Event Horizon-**」に突入したところで、いまだひとつのエンディングにも到達しておらず。 しかし、雰囲気的には話がようやくぐっと進みそうな気配。そこで、これまでに撒かれたもろもろの謎の解明がされる前にアレコレと現時点の考えを書き記しておきたい。 ## 第一印象・ラボメンナンバーというアイデア 本作の第一印象として、登場人物間の関係描写がよい。 はじめは**オカリン**(**岡部倫太郎**)と**まゆしぃ**(**椎名まゆり**)のふたりで始まった未来ガジェット研究所。そこに人物がどんどんと集まっていくところが楽しい。 オカリンが彼らに「**ラボメンナンバー**」と称して所属順に番号を与えることで、物語の役者が集っている感の演出と同時に、物語の軸となる**電話レンジ(仮)** という[[タイムトラベル|タイムマシン]]によって生じる混乱の整理にも寄与している点が巧い。 **世界線**というギミックによって登場人物間で認識の齟齬が生じるが、オカリンの中では「あいつはラボメンナンバー何番」という認識があってそれがプレイヤーに共有される。それが物語を追う上でのひとつのアンカーとなってくれるのだ。 >[!cite] > ![[『STEINS;GATE』ラボメンナンバー.webp]] > 引用:[[🎮️『STEINS;GATE』]]より > > 主要人物に割り当てられたただの数字が、後に重要なシーンでオカリンの記憶を刺激するきっかけとして機能する。そんな展開はいかにもありそうだ。 ## 主人公・オカリンについて そうして集まったメンバーはどれも一癖があり、それぞれ謎があり、そして==電話レンジ(仮)の力を利用して叶えたい欲望がある==。 実は、電話レンジ(仮)の力を具体的にどのように使いたいかという欲望が(唯一?)ないのが主人公であるオカリンであると私は見ている。厨二病をこじらせて狂気のマッドサイエンティスト・**鳳凰院凶真**を名乗り、電話レンジ(仮)を利用して世界を混沌に――みたいなことを嘯いてみせるが、そこに具体性はまるでない。「野望を持っている」という設定があるだけで、そこに欲望がないのだ。 欲望がない、ということはある意味で彼はまだまだ子供であるということだ。==オカリンは妄想(設定)で虚勢を張るばかりの幼い男==として描かれている。その幼さから発せられる奇っ怪な言動に起因するボケとツッコミが掛け合いとして楽しかったりもするのだが、このキャラクター設定の真の狙いは彼の成長にあるのだろうと読んでいる。 章を重ねるごとに電話レンジ(仮)が想像を超えるようなアイテムであることが明らかになり、段々と子供が扱えるような代物ではないということが判明していく。Chapter5の開始時点ですでに取り返しのつかないことが裏で起こっていることを予感させているが、それを彼がどうにかしてくれることで成長を描くのだろう。 なんとなく、本作の世界線なるギミックの性質から、自らの消失を伴う自己犠牲という成長描写に傾いていくのではないか、という期待と危惧がない交ぜになった未来図が頭に浮かんでいる。はてさてどうなるか。 ## ゼロ年代中盤、在りし日の秋葉原とオタク文化 本作は2009年に[[Xbox 360]]版が発売、物語の舞台は2010年の秋葉原だ。 制作時期的に、[[ニコニコ動画]]由来のオタク文化や[[iPhone]]日本上陸は劇中に反映されておらず、携帯電話も[[ガラケー]]だ。だから基本的にはゼロ年代中盤のオタク文化を内面化した若者たちが主要な登場人物として描かれる。 オカリンの幼さについては先に言及したが、同様に相棒ポジションである**ダル**(**橋田至**)の[[2ちゃんねる]](劇中では@ちゃんねる)用語をリアルで言ってしまうというキャラクター造形もかなりキツい。 しかし、このキツさは当時の時代性を濃厚に作品に反映しているからこそのものであると言える。誰もが所構わずタバコをスパスパと吸いまくってたかつての時代の映像を見て顔をしかめるようなものだ。彼が口にする2ちゃん用語にキツさを感じているということは、ある意味で私自身が当時から10数年分成長していることに他ならないのだと、ポジティブに捉えておこう。 >[!cite] > ![[『STEINS;GATE』ダル.webp]] > 引用:[[🎮️『STEINS;GATE』]]より > > 実はメイド喫茶文化も私はまったく通っておらず苦手意識があり、それも込みでやっぱりキツい。 また本作をプレイしていて思い出したことが、ゼロ年代のオタクは20年代のオタクと比較して、ある種の「あやしさ」があったということだ。同時に、そのあやしさに対するある種の「あこがれ」を私も抱いていたかもしれない。 そういえば近年は秋葉原を「オタクの聖地」と呼ぶこともなくなったように思う。もちろん、栄えた街は時代の流れに応じてその姿を変えるものだ。特に二次元のオタクにとっての聖地だった時代も、その過渡期でしかなかったのかもしれない。しかし、==当時私が憧れていた秋葉原の姿は、まだギリギリ本作には残っている==ように思う[^1]。 ずばり本作の象徴的なビジュアルである、人工衛星が突き刺さった[[📍秋葉原ラジオ会館]]も今では建て替えられてしまった。しかし物語として2010年夏の秋葉原を描く本作には確かにその町並みや文化が埋め込まれている。 本作が描くような[[タイムトラベル|タイムマシン]]はこの世に存在しない。しかし本作は私にとってちょっとだけ嬉しいタイムカプセルとして機能している。今更ながら[[🎮️『STEINS;GATE』]]をプレイする意義を感じた点として、今のところ真っ先に挙げられるポイントはここだろう。 ## そしてこれからどうなる? 本作はSFとして、真っ赤なウソを交えながらも作中世界の論理性をある程度保った上で、電話レンジ(仮)という[[タイムトラベル|タイムマシン]]が生じさせる不思議な現象を遊ばせてみせる。 そして、ある程度の論理生を保っているということは、先の展開もある程度は論理的に予想ができるということだ。現時点での私の読みを開示しておこう。 これを読んでいるのは大体が既プレイ者かアニメ視聴勢だと思うので、この先の展開を知る未来人気分でニヤニヤと楽しんでほしい。くれぐれも[[𝕏]]で「それ、合っています!」などとリプライを送らないように。決してフリじゃないからな。 Chapter5開始時点で一番気になる点と言えば、バイト戦士こと**阿万音鈴羽**の正体についてだ。 未来ガジェット研究所の下の階にある**ブラウン管工房**に無理を言ってバイトとして雇われた彼女は、@ちゃんねるに降臨した未来人ジョン・タイターのことを知っている口ぶりで、東京に来た目的は父親の探索だという。 Chapter4のイベントで、タイムマシンオフ会で父親と会えるはずだったのだがそれは叶わなかったという。実はダルもそのオフ会に参加する予定だったが、オカリンによって参加を阻止されたという流れから、==鈴羽の正体は未来からタイムマシンで2010年にやって来たダルの娘ではないか==という推測ができる。そう考えると両者の髪色とくせ毛が似ていることに気づく。そういえばこの二人が立ち絵として並ぶシーンがこれまでにあったかしらん? 鈴羽が未来人であるという推測が正しいとすると、彼女がバイト先として選んだブラウン管工房にはタイムマシンにとって重要な何かがあると考えられる。すると、==電話レンジ(仮)の原理において未解明である「シフター」の出どころはブラウン管工房にあるのではないか==と推理できる。電話レンジ(仮)が期待通りに動く条件には時間が関係しており、その時間帯からブラウン管工房の営業時間が絡んでいると考えると辻褄が合う。 同時に、鈴羽が**牧瀬紅莉栖**に対して敵対的な態度を取ることにも説明がつきそうだ。ダルの友人(?)として、紅莉栖が未来に何かをやらかしてしまうのかもしれず、それが娘である鈴羽にとって敵愾心を抱いた理由なのかもしれない。 このあたりの鈴羽まわりの謎についてはChapter4でかなり仄めかしがばら撒かれており、いくらか誘導されている気もする。しかしここまで筋が通るとある程度は正しいだろうと思いたくなってしまう。 一方で、いまだに謎として高い強度を保っているのが<ruby>閃光の指圧師<rt>シャイニングフィンガー</rt></ruby>こと**桐生萌郁**周りのエピソードだ。 彼女が電話レンジ(仮)を使って過去へとDメールを送った影響が何だったのか、いまだに謎である。それと同時に彼女に関係が深いアイテムである**IBN5100**の行方もよく分からない。 このあたりはChapter5で進展があるのだろうか。 そしてオカリンが「リーディング・シュタイナー」と呼ぶ、世界線の変動を知覚できる能力。これもさっぱり謎であるが、彼を主人公たらしめる能力だけに一番の大きな謎として最後まで引っ張るのかもしれない。 まゆしぃが語る、彼が過去に生死をさまよったというエピソードは無関係ではないだろう。そしてまゆしぃが今も彼に対してどこか異様な慕い方をしていることも。このあたりは純粋に先が気になるところだ。 ![[🎮️『STEINS;GATE』#関連リンク]] [^1]: だからこそChapter4でフェイリスが電話レンジ(仮)を使ったことで生じた秋葉原の変化が余計にショッキングなものとして映ったかもしれない。