# 2025-05-16 [[🎞️『うぉっしゅ』]]を観る
![[ネタバレ#^warning]]
## 感想
劇場で鑑賞。

ソープ嬢の加那([[👤中尾有伽]])は入院する母親に頼まれて8年ぶりに会う祖母の紀江([[👤研ナオコ]])の介護をすることに。祖母は認知症が進んでおり、会うたびに「初対面」を繰り返す中、三日で耐えきれなくなってホームヘルパーを頼むが……。
### 人生という限られた時間を誰に費やすか
ソープ嬢と介護。ふたつの「お仕事」を対比させながら主人公の加那([[👤中尾有伽]])が思い悩むのが、自分の時間を誰に・どれだけサービスするべきか、という人生の難題だ。
ソープ嬢をしている自分にガチ恋してくる客がいる。そんな客をたしなめながら、きっと店を出たら(=サービスが終わったら)すぐに自分のことなんて忘れるんだと考える。適度にサービスしながら、同時に関係を諦めさせるのも仕事のうちなのだと。
認知症が進む祖母も、介護という「サービス」をしても次の日にはすっかり忘れてしまう。だから、それ相応の仕事と関係値でよいのではないか――とモヤモヤする中、同僚のすみれ([[👤中村ゆかり]])とのささいな対話を通して「お客」と「家族」という差異に気付かされ、物語は走り出す。
紀江との関係が深まるにつれてフェーズごとに異なる葛藤を抱える加那に対し、それぞれ異なる人物が示唆を与える作りが巧い。
終盤は加那の家政婦である名取([[👤髙木直子]])がかつてホームヘルパーだった経験を語る。個人的にはこのシークエンスが本作の白眉であり、物語序盤から少ない出番ながら「サービスのプロ」としての存在感を見せていた彼女がワインを嗜みながら語る姿の説得力がお見事。
もちろん[[👤研ナオコ]]の芸達者ぶりも言うまでもない。
前半は若いセンスの(悪く言えば少々うるさい)編集にはじまり、後半にかけてベテラン役者の演技でつなぎ、エンドロールは[[ムーンライト・セレナーデ]]で渋くしめくくる。
介護を題材としているだけあって若さと老いが交錯する一作だった。
## 情報
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