# 2025-05-17 [[🎞️『13th -憲法修正第13条-』]]を観る
## 感想
[[Netflix]]で鑑賞。
きっかけは[[🎞️『シンシン/SING SING』]]から。パンフレットでも[[👤ISO]]氏のレビューで紹介されており、なぜアメリカの拘置所に有色人種が(その多くは有罪判決を受けていないにもかかわらず)多く収監されているのかの歴史的な要点を押さえたくなったことから、以前より気になっていた本作を視聴。
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> [[🎞️『シンシン/SING SING』]]は舞台演劇による更生プログラム(RTA: Rehabilitation Through the Arts)を受ける囚人たちを描くドラマ。出演者の85%がかつて収監された経験を持つ役者で構成されており、黒人が多く出演する。
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> - [[2025-04-28 🎞️『シンシン/SING SING』を観る]]
冒頭からパンチが効いている。アメリカ合衆国の人口は世界人口の5%である。しかし、==世界の受刑者の25%はアメリカ合衆国にいる==。
この異常とも思える状況説明から始まり、[[アメリカ合衆国憲法修正第13条]]の問題点とそこから生じた差別的な刑事司法制度の歴史を紐解く内容だ。
[[奴隷解放宣言]]をきっかけに成立された[[アメリカ合衆国憲法修正第13条|憲法修正第13条]]は以下のような条文である。
![[アメリカ合衆国憲法修正第13条#^Article]]
奴隷制の禁止を明言するものであるが、ここには抜け道がある。
「ただし犯罪者であって関連する者が正当と認めた場合の罰とするときを除く」の部分だ。
これからは憲法により黒人を無条件に奴隷として隷属させることはできない。ただし、彼が犯罪者であれば話は別、ということだ。このロジックによりアメリカでは黒人が犯罪者として逮捕されやすい状況を招くこととなった。
差別はある集団を悪魔化するところからはじまる。本作でも[[🎞️『國民の創生』]]により黒人男性=野蛮というレッテルが社会的に共有され、現代にまで続く人種問題の根となっていることが語れる。
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> [[🎞️『國民の創生』]]は以前活弁付き上映で鑑賞し、本作の問題点についても感想として残している。
> - [[2025-01-13 🎞️『國民の創生』活弁付き上映を観る]]
社会に根づいた差別感情が奴隷を生み出す。直接的な奴隷制がだめならば彼らを犯罪者に仕立て上げればよい。そんな発想は選挙活動やメディアも絡んで肥大化し、黒人男性が簡単に逮捕されてしまう状況を招いたのである。
しかも、受刑者が増えれば増えるほど儲かる構造を持つ企業群による経済界側の思惑もあってこの状況を変えることが難しいということも示唆される。
本作の配信は2016年10月。大統領選挙を直前に控えた時期であり、[[Black Lives Matte|BLM]]運動も大きく拡大していた時期だったように思う。本作はそんなデモの様子を映す多くの写真を流しながら締めくくってみせる。
[[🎞️『シンシン/SING SING』]]の解像度も大いに上がる一作だった。[[Netflix]]加入者でなくとも[[YouTube]]で全編が無料公開されているため、視聴をおすすめしたい。
## 情報
![[🎞️『13th -憲法修正第13条-』#本編]]
![[🎞️『13th -憲法修正第13条-』#主要スタッフ]]
![[🎞️『13th -憲法修正第13条-』#関連リンク]]