# 2025-06-24 [[🎞️『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』]]を観る
## 感想
[[IMAX]]シアターで鑑賞。

### シリーズへの思い
[[『ミッション:インポッシブル』シリーズ]]について、通して観てはいたが本格的にその凄さに納得したのは前作の[[🎞️『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』]]だった。
そもそも私のなかで「[[アクション映画]]」に対するある種の「舐め」があったことは(恥ずかしながら)間違いない。そんな私は、[[🎞️『デッドレコニング PART ONE』]]のクライマックス、走行する列車のすべてを映画の面白さに還元する工夫満載のシークエンスにノックアウトされたのだった。
思い返せば、[[🎞️『デッドレコニング PART ONE』]]は予告の段階でもっともド派手なスタントアクションである崖をバイクでジャンプするシーンのメイキングをガンガン劇場でかけていたのが大きかった。「[[👤トム・クルーズ]]が本当にやっている」という意識付けをした上で、映画で実際にそのシーンを観ることで強化された感動が確かにあった。
>[!cite]
> 以下のメイキング映像の短縮版と思われるものが劇場で流れていた覚えがある。
> 冷静に考えて、まだ上映されていない映画の裏側まで見せるのは悪手に思うが、本シリーズは「映画スター・[[👤トム・クルーズ]]のスタントドキュメンタリー」という一面があり、だから許される感がある。
>
> 
だからその続編であり、少なくとも「レコニング」シリーズの終わりという位置づけの本作はいつも以上に楽しみにしていた。
### 物語なんてどうでもいい
時系列は前作から2ヶ月後。自我を持つAI・**エンティティ**に至る鍵の奪い合いに勝利した[[イーサン・ハント|イーサン]]だったが、エンティティは核保有国の核発射システムへの侵入を開始。すべてのシステムを掌握されたら人類は核兵器のコントロールができなくなってしまう。
核戦争を止めるべく、[[イーサン・ハント|イーサン]]はアメリカ合衆国の後ろ盾を得てエンティティを止めるという、最後のミッションに挑む。
あらすじとしてはこんなところだが、はっきり言って細かいところはよく分からないところが多く、各人物がいったい何を目的として動いているのかを細かく考えると混乱してくる。
しかし、映画という物語メディアにおいてはそれもまた良しと近年は感じるようになった。要は、「お話がおもしろい」以上の面白さをお話以外で達成すれば良いのである。
その点、本シリーズは狂ったようなスタントアクションを実現するために物語が奉仕するという関係性なので、アクションがお話の理解不能さという枷を無視できる程度に面白ければ映画としては成功だ。そして、本作はきちんと成功している。
### 見たことのない水中アクション
本作のアクションの大きな見どころはふたつ。第二幕の潜水艦侵入と、第三幕の複葉機チェイスだ。
特に第二幕の潜水艦を舞台とした水中アクションはこれまでに見たことのないスケールで度肝を抜かれた。沈没した潜水艦はすべてが浸水しているわけではない。そこに[[イーサン・ハント|イーサン]]が侵入したことでバランスを崩した潜水艦が海底を転がりだし、艦内の重力移動と同時に浸水範囲が刻一刻と変わっていく。
どうやって撮影したのか想像がつかない画の連続に舌を巻く中、これはもう確実にムリという絶体絶命をなんとか乗り越えていく[[イーサン・ハント|イーサン]]。その先に待つのは復活だ。海底から裸一貫で地上を目指す彼の姿には神々しさすら感じさせる。
### 彼を信頼するしかない
エンティティという姿なき敵は情報操作によって人を騙し動かす。AIネタであるが、現代の陰謀論が蔓延る[[SNS]]のメタファーだろう。[[イーサン・ハント|イーサン]]もずばり「SNSの見すぎだ」というセリフを吐いて、エンティティに操られた敵対者を殴打してみせる。
何を信じればよいのか分からない[[ポスト・トゥルース]]の時代にひとりの英雄を信じる、という物語はいささか危うい[[プロパガンダ]]の臭いもする。一方で、このシリーズにおいて[[イーサン・ハント]]という男は敵(と観客)を騙しながら勝ってきたスパイであり、そんな彼が最後に信頼を武器に闘うというのはやはり熱い。
本作のアクションはシリーズの中でも[[イーサン・ハント|イーサン]]の単独行動が多い印象だが、それは仲間たちが彼を信頼しているからであり、その信頼こそがAIを出し抜く鍵となる。
同時に、本シリーズが「本物のアクション」を志向してきたという歴史もまた、テーマと綺麗に組み合わさる。
[[イーサン・ハント]]=[[👤トム・クルーズ]]が本当に大地を走り、水中を泳ぎ、上空を飛ぶ。その「リアル」さこそが、陰謀論という嘘っぱち、映画(物語)という嘘っぱちを乗り越えて、観客を感動させる。
やはりこのシリーズは最後まで[[👤トム・クルーズ]]のスタントドキュメンタリーだった。
## 情報
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