# 2025-07-03 [[🎞️『か「」く「」し「」ご「」と「』]]を観る ## 感想 劇場で鑑賞。  ### 見覚えのあるタイトル 5月30日公開の本作、駆け込みで観に行くことができた。 普段は好んで観に行くラインの題材ではないのだが、[[👤奥平大兼]]のファンなのでこれは見逃せなかった。 原作は未読だが、このタイトルは[[📘『「若者の読書離れ」というウソ 中高生はどのくらい、どんな本を読んでいるのか』]]の中で紹介されていたことを記憶していた。 この本では[[住野よる]]が2010年代の中高生に「作家読み」されている作家の一人として挙げられ、その作風は現代の若者に人気の型である「**自意識＋どんでん返し＋真情爆発**」とまとめられていた。なるほど、確かにこの映画もその構造だ。 ### 「隠し事」はセリフとセリフの間にある 本作は五人の高校生を中心とした3年間の交流を描く。 物語のフックとなるのが「他人の気持ちを見ることができる」能力だ。 **大塚京**（[[👤奥平大兼]]）は目の前にいる人の感情を記号として見ることができる。嬉しいときや驚いたときは「！」、分からないときは「？」、考えているときは「…」といったように、その時の内心に合った記号がその人の頭の上に浮かぶ。それを手がかりにして人間関係を構築するのだ。 こんな能力があれば私にだってそれなりに友好関係を広げられそうだと安易に考えてしまうところだが、京はこの能力に色々と振り回されることになる。 他人の気持ちが分かったとして、その気持ちに合った身の振り方は自分で考えなければならないのだ。京の場合、得られるヒントが多いだけに自らが犯してしまった「失敗」に余計にへこんでしまい、ある種のトラウマとしてその後の対人関係に影響することとなる。 そのような感じで五人の人物の視点を移動させながら、関係性の構築を丁寧に描いていく。 視点が変われば世界の見方も変わる。世界の見方が変わればその振る舞いも変わる。それぞれが、それぞれの戦略で人間関係を構築しようとする。だからこそ誤ったりすれ違ったりしてしまうのだが、そのスリリングさを丹念に描いているところが本作の美点であり、大人にも刺さるところだ。 セリフとセリフ、つまり言葉にされること以外のところに人は「隠し事」を抱えている。 他人の隠し事にリーチするためには、やはり親密な関係を築き、信頼を得るしかない。だからこそ「隠し事」に届いたときの多幸感は格別だ。信頼し、信頼されることこそが、やっかいな「人間関係」なる問題に取り組んだ時間や労力が報われる瞬間である。 ……みたいな感じでテーマ的な部分を語ってみたが、やはり本作の一番の魅力は若手五人のアンサンブルにあると断言して良い。 なんといっても五人ともキュートが過ぎてたまらない。ブルー基調の制服もオシャレで可愛い。ちゃんと全員好きになれる作りが偉い。 いわゆる「キラキラ映画」な一面もないとはいわないが、ベースのケーキが十分なきらめきを放っているのだからと食用ラメはかなり控えめで、その点も大人の観客としては観やすくて助かるところだった。 ## 情報 ![[🎞️『か「」く「」し「」ご「」と「』#予告編]] ![[🎞️『か「」く「」し「」ご「」と「』#主要スタッフ]] ![[🎞️『か「」く「」し「」ご「」と「』#関連リンク]]