# 2025-07-26 [[🎞️『ストレンジ・ダーリン』]]を観る
![[ネタバレ#^warning]]
## 感想
劇場で鑑賞。

### フィルム撮影宣言
映画冒頭、まず最初に表示されるのが「この映画は35mmフィルムで撮影された」という字幕。こんなものは初めて目にした。
近年はフィルム撮影が復権してきている動きもあるが、それを加味しても撮影効率が良く予算も比較的かからないデジタル撮影のほうがずっと多数派だ。
私も下調べをせずに観た映画は基本的にデジタル撮影だと思って観る。そもそも[[🎞️『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』]]のように、どうみても70年代風のルックにも関わらず実はデジタル撮影でポスプロでフィルム風に処理しているなんてパターンもあるため、フィルム撮影かデジタル撮影かの判定は難しい。
そんな環境下で、冒頭から「この映画は35mmフィルムで撮影された」とわざわざ宣言する意味はなにか。インタビューでは語られていないが[^1]、私は固定観念に揺さぶりをかける仕掛けと受け取った。基本的にデジタル撮影だろうと無意識的に考える観客に対し、この映画はデジタル撮影ではないと否定をいれる。
この、「あなたが無意識的に考えてしまいがちなこと(固定観念)が正しいとはかぎらない」ということ自体が、この作品全体に貫くテーマであるように思う。
### 第三章
本作は2018年から2020年にかけて発生したシリアルキラーの事件をベースに、全六章立てで描くことを宣言する。そこから始まるのが「第三章」である。
つまりは[[🎞️『パルプ・フィクション』]]に代表される[[時系列シャッフル]]作品だ。本作はあらかじめ六章であることを宣言したうえで、時系列が章番号からわかるところがミソとなっている。時系列的に考えるとどの辺りの時間帯の話なのかが章番号からわかり、かつ残り何回、章が飛ぶのかを逆算することができる。
もちろんこの時系列シャッフルが効いてくるように緻密にプロットが組まれており、章が切り替わる毎に右へ左へとツイストが効いてくる展開が楽しい映画だった。
第三章の内容はまさしく「逃げる女、追う男」としか表現しようのない逃走劇。固定カメラに向かって正面から二台の車がカメラの上を通過していくという、観客が脅威を覚えるショットも本作の性質を語っているように思う。
また、女が乗る車と服装がどちらも眩しい赤色で、それ以降の[[カラーグレーディング]]に条件付けがされる。赤は本作において明らかに危険や暴力のにおいを漂わせる。では逆に青色は……と観ていくと楽しい映画だ。
以上、ここから先は、ここでは語らないこととしよう。
観る気があるなら公式サイトも見ずに行くことをオススメしたい。
## 情報
![[🎞️『ストレンジ・ダーリン』#予告編]]
![[🎞️『ストレンジ・ダーリン』#主要スタッフ]]
![[🎞️『ストレンジ・ダーリン』#関連リンク]]
[^1]: 引用: https://x.com/KADOKAWA_pic/status/1946082431691534841