# 2025-09-12 [[📕『海辺へ行く道』]]シリーズを読む
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> ![[📕『海辺へ行く道』#概要]]
## 感想
実写映画版が大変素晴らしかったため原作のKindle版全3巻を購入して読んだ。
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> 漫画を買うのは数年ぶり。それだけ「この作品世界にもっと浸りたい」と思わされる力が映画版にはあった。
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> - [[2025-09-07 🎞️『海辺へ行く道』を観る]]
映画はなかなか独特な空気感を持つ作品だった。全3話構成でありながらそれぞれにスッキリするようなオチがつかず、それぞれのエピソードが薄っすらと繋がっていて、それでも全体を俯瞰してみてもやっぱりオチはつかない。そんな作劇が印象的だった。
そしてこの独特な空気感は原作のトレースであることがわかる。ある海辺の街に住む南奏介という主人公の少年を中心にしながらも、本作に物語らしきものを生じさせるのはその周辺に現れては消える怪しく胡散臭い大人たちだ。
子どもたちは町から離れられないが、大人たち、それも後ろ暗い事情を抱えた大人たちは居場所を転々とする。だから舞台の町で一期一会の出会い(あるいは入れ違い)が生じ、それが不思議で奇妙な出来事を引き起こす――そんなエピソードの連なりが本作の基本だ。
個人的にお気に入りのエピソードは三巻「そしてまた、夏」に収録された「北風は今夜も吹いて」だ。映画版ではほとんど要素が拾われていないエピソードのひとつだが、本作の入れ違い群像劇感が見事に決まっていた。
下着泥棒、屋敷林、学校教師の淫行疑惑――それぞれの出来事の中心人物たちは一切交わらないのに、副題にある北風が吹くことによってひとつの滑稽な出来事に収束される。最後、屋敷林に引っかかった短冊に書かれた願いも皮肉なのやらなんなのやらといった感じでいかにも本作らしい。
原作ネタを拾うことを楽しみにしながら、[[🎞️『海辺へ行く道』]]をもう一度観に行きたいと思う。
## 情報
![[📕『海辺へ行く道』#関連リンク]]