# 2025-09-13 [[🎞️『バイオレント・ネイチャー』]]を観る
![[レーティング#^r-18]]
## 感想
劇場で鑑賞。上映後トークイベント付き。

### アート系スラッシャー
軽率な若者たちが森の奥で意味深に飾られた金のペンダントを持ち去る。
しかしそれは不死の怪人を封印するためのアイテムだった!
蘇った怪人はペンダントを取り戻すべく森の中を進み、若者たちを次々と惨殺していく。
こうしてあらすじを書いてみるとよくある[[スラッシャー]]映画に思えるが、本作の特徴はその静けさだ。
蘇った怪人**ジョニー**([[👤ライ・バレット]])はゆっくりとした一定のテンポで森の中を歩んでいく。カメラはそんな彼を背後からピッタリとくっついていく。
[[スタンダードサイズ]]の狭いスクリーンの中、ひたすら主人公の移動について行く撮影スタイルに私は[[🎞️『サウルの息子』]]を想起した。今年観た映画では[[🎞️『Playground 校庭』]]に近いだろうか。
>[!check]
> この手法は主人公の体験をそのまま観客にも追体験させ、しかもそこから逃さないことを狙って用いられる。その性質ゆえに嫌な気持ちにさせられる映画が多い印象だ。
>
> - [[2025-04-04 🎞️『Playground 校庭』を観る]]
本作の場合はスラッシャーの殺人鬼の追体験だ。あっと驚く蘇り方をしたジョニーについていきながら、彼の豪快な惨殺シーンにつきあわされていく。
しかし、みんなが期待する派手な[[スプラッター]]の合間には静かな移動が挟まる。森林の美しい景色をゆったりと進んでいく様にはある種のヒーリング効果もありそうで、それを指して(この手のジャンル映画にしては珍しく)眠気を感じるかもしれない。
眠い映画を指して「アート映画」と当て擦る向きもあるが、本作のアート的実験は個人的には作品の固有性と品質に貢献しているように思った。
特にラスト、ある人物が木々の奥をじっと見つめるショットでは、これまで本作が積み重ねた静けさが効いており、じわじわとした不安感を煽る見事な演出に繋がっていた。
まあ、そうはいえどもやはり見せ場は惨殺シーンだ。
言葉で説明しても詮無いのでどんなゴアがあるかは是非観ていただきたいが、人体破壊描写はばっちり押さえているのでご安心を。
四肢の切断や頭部破壊はもちろん、ひとつ大変芸術点の高い気合の入った殺し方(これ身体どうなってんの?)があったということだけここでは言及しておこう。
### 劇場環境とトークイベント
この日は[[📍新宿シネマカリテ]]で鑑賞したのだが、劇場に入ると張り紙が。
>[!cite]
> 現在、外気の異常な暑さによる影響で、当館スクリーン1内にて空調が効きづらくなっております。
>
> 幕間に前後の扉2つを開けての換気/サーキュレーター・消臭剤の使用など対策を行っております。
>
> お手数をおかけいたしますが、ご鑑賞中はこまめな水分補給等、熱中症対策のご協力をお願いいたします。
>
> 引用:[【劇場内空調不具合についてのお知らせ】 » 新宿シネマカリテ](https://qualite.musashino-k.jp/news/26980/)
暑さはそこまで感じることはなかったが、換気については確かに普段よりも弱かったかように思う。
トークショー付き上映により満席だったこともあり、鼻を刺すような他人の汗の臭いを常時感じた。まあ、それも森の中を延々と歩く汗臭そうな内容だから、これも4D演出と思うことで無理やり受け入れることとした。
ただし本作は宣伝の「**史上最悪 嘔吐社続出**」を謳っており、もしも本当に嘔吐者が現れようものなら胃液の臭いの中で映画を鑑賞しなければならないのだろうかと、ちょっとした覚悟を試されたのであった。
トークショーでは声優の[[👤野水伊織]]さんと芸人の[[👤ジャガモンド斎藤]]さんが登壇。
斎藤さんは映画関係の[[YouTube]]チャンネルでお目にかかる事が多い。実際に生でお目にかかるのははじめてだった。
本作のスラッシャー映画のオマージュ元などの解説は嬉しい。鑑賞直後に色んなゴア描写についてワイワイ振り返るのは大変楽しかった。
## 情報
![[🎞️『バイオレント・ネイチャー』#予告編]]
![[🎞️『バイオレント・ネイチャー』#主要スタッフ]]
![[🎞️『バイオレント・ネイチャー』#関連リンク]]