# 2025-11-10 [[📘『大都会の愛し方』]]を観る
## 感想
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感想をまとめる時間がとれないので手短に。
[[🎞️『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』]]が非常に面白かったので原作である本書を読んでみた。
本作は、映画版におけるフンスに当たるキャラクター(原作ではヨン)を語り部とした四つの短編から成る。映画版ではそのうちの一編「ジェヒ」を大きく膨らませて映像化していることが確認できた。
映画のパンフレットによると、フンス役の[[👤ノ・サンヒョン]]も原作を参考として読んだが、映画用に脚色されたフンス像に集中するために最後までは読まなかったという。
なるほど確かに、「ジェヒ」のエピソードの後もヨンの人生は続いており、それは映画が描いたトーンとはギャップが大きい。両者を無理に馴染ませるのは難しそうだ。
近年、日本では原作モノの実写映画化における脚色についてしばしば議論が持ち上がる。
本作の場合は、主要人物の名前を変えるという大きな改変をしているのだが、このケースにおいては原作に対する誠実さの表れであると感じた。
そういえば映画版は[[🎞️『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』]]と冠詞に「the」を用いている。一方で原作本には英題として「Love in a Big City」を掲げる。
これは映画版では主にソウルを舞台にしているのに対し、原作ではソウル以外にもバンコクや東京のエピソードが含まれている違いから生じているのだろう。
また、映画の邦題では原作本のタイトルを用いるのではなく英題を用いている点も、映画版が原作からより濃く抽出しているポップさを強化する意図を感じた。
一人の男の半生を通して愛にまつわる功罪をしっとりと描く原作小説は[[📘『大都会の愛し方』]]。
その原作小説からもっともポップなエピソードを抽出し、都市に溢れる現代的な愛の在り方を提示してみせる映画版は[[🎞️『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』]]。
いずれも、それぞれの形式における最良の邦題であると感じた。
## 情報
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