# 2025-11-29 [[📘『戸籍の日本史』]]を読む
## 感想
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恥ずかしながら戸籍の存在意義をよく理解しておらず、日本史にも疎かった私にとって、「==戸籍制度を軸に日本近現代史を語る==」この新書は、私の中の未知の部分を大きく補ってくれる一冊だった。
[[選択的夫婦別姓]]や[[性的マイノリティ]]など、現代の多様性にまつわる議論が交わされるときに障壁となりがちな観念として「伝統的な日本の家族観」がある。
その背後には戦前の「家制度」の影が薄っすらとあり、明治維新から終戦に至るまで、この家制度を実質的に支えていたのが戸籍制度だった。
また、戸籍が「日本人であることの証明」に用いられる仕組みであることやその制度設計から、様々な差別問題とも結びつく。男尊女卑や部落差別、外国人差別なども、歴史を振り返れば戸籍制度の影響が随所に見て取れる。
このような現代的な議論にも影を落とし続けている制度であるにもかかわらず、その詳細をよく理解できていない日本人は(私を含め)数多い。
そんな中でも現代のフィクション作品において戸籍の存在はしばしば物語の要所を締める。直近の映画作品でも[[🎞️『ある男』]]、[[🎞️『市子』]]、[[🎞️『愚か者の身分』]]などが思い浮かぶ。
そうした作品群の背後にある問題の歴史的な経緯を捉える上で、今後も手元に置いておきたい一冊となりそうだ。
## 情報
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