# 2025-12-02 [[📘『カードゲームで本当に強くなる考え方』]]を読む
## 感想
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[[ソーシャル・ネットワーキング・サービス|SNS]]で流行っていた本書に手を出す。
題材が面白い。私は対人カードゲームは小坊のときに[[🎲『デュエル・マスターズ』]]を少しだけプレイしたくらいでまったく詳しくないのだが、「カードゲームの強くなり方」で一冊の新書に仕立てた例はあまり聞かない。これは確かに売れそうだ。
いまも対人カードゲームはまったくやらないものの、ここ数年は[[🎮️『Slay the Spire』]]やそのフォロワーのローグライト系カードゲームをちょくちょく遊んでいる。それらのプレイスキルが少しでも向上すれば儲けもの、という気持ちで読みはじめた。
本書によればカードゲームの本質は「数理と心理」にある。
「勝てる選択」であるかを判定するために確率を駆使し、その選択が本当に妥当であるかを検証するために[[行動経済学]]を中心とした心理学の知見を活用する。だから本書は数理と心理にそれぞれ一章ずつを割いてその基礎を解説している。
カードゲームという明確化されたルールの上に成り立つ複雑性と向き合うためには使える学問を総動員せよ、ということだ。これはカードゲームという題材に限らず広く一般化できる態度であろう。
その考え方を象徴するように、巻末の「読書案内」にはなかなかに骨太なラインナップが並ぶ。
[[📘『理工系の数理 確率・統計』]]、[[📘『マンキュー入門経済学』]]といった大学教科書レベルから、[[📘『ゼミナール ゲーム理論入門』]]、[[📘『認知心理学』]]といった専門書、果ては「言語化」の手法の参考として[[📘『哲学探究』]]まで挙げる。
題材こそライトだが、何かを極めようと思えば学問の深みに触れる必要があることをきちんと示した選書だ。このあたりが[[ちくまプリマー新書]]らしい、良質な「入り口の本」という印象を強める。
個人的には新たな発見に乏しかったが決して悪い本ではない。
## 情報
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