# 2026-01-26 [[🎞️『ヒグマ!!』]]を観る
## 感想
劇場で鑑賞。

>[!info]
> ![[🎞️『ヒグマ!!』#概要]]
### 2025年の映画
[[今年の漢字]]が「熊」だった2025年。クマ被害の拡大によって本作[[🎞️『ヒグマ!!』]]も公開延期され、結果として2026年の公開となった。しかし本作は2025年という時代をB級動物パニック映画として見事な精度で写し取っていた。
題材であるクマ、そして闇バイトという時事ネタを押さえていることはもちろん、同年を代表する[[🎞️『国宝』]]との対比も含めて考えると、やはり2025年に公開されるべくして製作された映画のように思える。
とにかく格好良くない。正確に言えば、格好良くしようとしていない。
主人公の**小山内=闇バイト66番**([[👤鈴木福]])は良くも悪くも「普通の男の子」だ。善良で、特別なオーラもない。そんな彼がある不幸によって家庭を壊され、闇バイトに手を染めて、最後にはヒグマと闘うことになる。
闘うといっても彼の役目は基本的にパニック映画を盛り上げるための足手まとい役だ。たまたま共闘することとなる元自衛官の**若林=闇バイト28番**([[👤円井わん]])の足を引っ張り、重要な場面で動けなかったり、クシャミをするしで良いところなし。しかもヘタレだ。
しかし、それが死を目の前にした普通の男の子のダサさなのだ。普通の男の子はヒロイックでも、格好良くもない。これはたまたま普通の男の子が主人公になってしまったパニック映画なのだ。
この格好良くなさは主人公だけでなく、映画のルックにも言える。
映画開始直後に流れるちょっとビックリするようなゲーム映像――具体的には[[🎮️『野生動物のレース』]]風のあからさまにシュールでチープなビジュアル――は、本作が掲げる安っぽさ宣言だ。このシュールさと安さが重要なのだ。
それはルックも題材も格調高く、潤沢な予算を前提とした[[🎞️『国宝』]]とは真逆の戦略である。
とにかく金がない。じゃあ、その中でどう足掻いて楽しませるか? そんな創意工夫がこの手のニッチなジャンル映画にとって最も重要なことなのだ。
金のない若者たちが搾取される物語と、低予算で工夫を重ねる映画作りが重なり合い、結果として本作は大作と殴り合えるだけの力を獲得している。
闇バイトとクマという一見無関係な事象を、物語的に交差させる手つきも巧みである。
例えば登場するクマはその足のサイズから**19**と呼ばれる。闇バイトに勤しむ若者たちと同様にクマもまた番号で呼ばれることで、現代の日本の社会問題問として隣接しているように見えるよう演出されているのだ。
ずばり、どちらも2025年の弱肉強食。「食うか食われるか」という野生の倫理は現代の日本にも確かに存在するのだと突きつけてくる。
### 映倫G区分?!
テーマ的な部分を話したが、本作はあくまで愉快で楽しいジャンル映画だ。
最大の見どころはやはり着ぐるみ特撮によるヒグマのモンスター的存在感と、やり過ぎによりギャグと化しているゴア描写である。
主人公の小山内がゆるい雰囲気を作るからこそ、過剰にバイオレントな匂いを放つクマのビジュアルとのギャップが楽しい。しかもゴア描写もしっかり見せる。顔面はえぐれ、手足は盛大に吹き飛ぶ。
最近、様々な映画を観るにつけ映倫のレーティングはいったいどういう基準で決められているのだろうと疑問に思うことは多い。本作が年齢にかかわらず誰でも観られるG区分なのは、どういう機序によるものなのか気になるところだ。
もちろん、こうした愉快な映画を小学生でも自由に観られることは喜ばしいことであり、ぜひとも罪悪感を持つことなくトラウマになって欲しいと思う。
本作のグロテスクさはクマだけでなく、しかも闇バイトに関わる人間の闇だけでもない。
そのいずれでもない存在としてハンターの**神崎**([[👤宇梶剛士]])がいる。
彼もまたこの歪んだ社会構造をサヴァイブするために身につけた生存戦略でもって観客に恐怖と笑いをもたらす存在だ。
おそらく、あの世界であの年齢まで生き抜くためには、あれくらい異常な生存能力が必要なのだろう。そこにはどこか拭いきれない哀愁すら漂っていた。
## 情報
![[🎞️『ヒグマ!!』#予告編]]
![[🎞️『ヒグマ!!』#主要スタッフ]]
![[🎞️『ヒグマ!!』#関連リンク]]