# 2026-03-14 [[🎞️『センチメンタル・バリュー』]]を観る
## 感想
劇場で鑑賞。

>[!info]
> ![[🎞️『センチメンタル・バリュー』#概要]]
### 父と娘
父は逃げた。その血を継ぐ娘にも逃げ癖がある。
家族を捨て、世間的には巨匠とされる映画監督の父・**グスタヴ**([[👤ステラン・スカルスガルド]])が久々に娘の前に姿を現したかと思えば、舞台俳優として活躍する娘・**ノーラ**([[👤レナーテ・レインスベ]])を主演に新作を撮りたいという。15年ぶりの作品だ。
もちろんノーラはこの打診を拒否する。あなたとは会話ができないと。切れてしまった縁と積み重ねてしまった時間はなかなか取り戻せない。それを受けてグスタヴは若手の人気アメリカ人俳優を主演に迎えてその映画を撮るというのだから、「オイオイ」となる。
そんな父と娘の微妙な関係性を中心に描く家族映画であるが、そこにグスタヴの母との話や、映画というアートを創造することについての話など、多層的なテーマが絡み合ってくる。
が、ここでは似た者同士の父娘について絞って見てみたい。
### 逃げ癖
冒頭、ノーラの舞台本番前のいざこざからして彼女の繊細さと逃げ癖が垣間見える。逃げよう逃げようと足掻く人物は滑稽で、それだけでコメディになることは私の大好きな[[🎞️『そして僕は途方に暮れる』]]からも分かる。
そんな彼女が今付き合っている相手は既婚者で、家族を捨てたグスタヴのことをまっとうに非難できないところなんかは笑ってしまう。
一方のグスタヴはなぜこれまで逃げてきた自らの家族と再び向き合おうとしたのかを思うと、やはり老いというものを意識せざるを得ない。
そのことを示すシーンが中盤、これまでの作品でも組んできた撮影監督に仕事のオファーをしに行く場面だ。初めは再会にウキウキした面持ちだったグスタヴだが、加齢により足を悪くした仕事仲間の姿を見てやんわりと話をなかったことにしようとする振る舞いが笑えると同時に切ない。
仕事という何らかの活動によって結ばれた関係性は、その活動が果たせなくなったときに切れてしまう。しかし血によって繋がれた家族関係はそうではない。だからグスタヴは再び自らの娘たちと向き合わなければいけなくなったのだろうと思わせるシーンだ。
逃げた父と、今まさに逃げようとしている娘が、新しい関係性を再び築いていく姿を静かに描く。
映画制作という題材も合わさっていかにも[[アカデミー賞]]好みな作品だと感じたが、案の定国際長編映画賞を受賞した。それも納得の秀作である。
## 情報
![[🎞️『センチメンタル・バリュー』#予告編]]
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