# 2026-04-26 [[『インファナル・アフェア』シリーズ]]を観る
## 感想
[[📍目黒シネマ]]のオールナイト上映で鑑賞。
ずっと前から観たいと思いつつも三部作という重さから後回しにしていた作品。こういうものこそ企画上映という形でまとめて観られるとたいへん助かる。
[[👤マーティン・スコセッシ]]監督ファンなのでハリウッド版リメイクの[[🎞️『ディパーテッド』]]は鑑賞済みで、いわゆる潜入捜査官ものの金字塔として認識されているという知識はあった。そのつもりで観に行ったのである。
### [[🎞️『インファナル・アフェア』]]
確かに一作目の[[🎞️『インファナル・アフェア』]]は想像通りの映画がお出しされた。

裏社会に潜り込んだ警察官と、警察組織に潜り込んだマフィアの構成員。
その二人の運命が交差する事件が描かれるのだが、二人分の「バレるかバレないか」のサスペンスが一つの出来事の中で同時並行するという構造が強固に面白い。警察側とマフィア側の攻防が互いのスパイからもたらされる情報を元に展開されるのもゲーム的な楽しさがある。
二人の主人公が直接対峙することなく、しかし互いの境遇の同質性から運命的なものを感じさせ、そしてついに顔を合わせたシチュエーションの悲劇性から、ある種の[[ブロマンス]]映画的な面白みもある。
そして編集や音楽はかなりこってりとした味付けの2000年代初頭のアクション映画といった感じで結構チャカチャカしている。この点は少し思っていたものと違ったが、二作目、三作目と経るにつれて落ち着いていき、だんだんと「名作」らしくなっていく。
しかし、こと一作目についてはシナリオからして「分かりやすいエンタメ映画」としてシリーズ中突出していることからこの演出が駄目だということは断じてない。むしろ、この一作目のせわしない編集が二作目以降との差別化として面白く観られるようになっていくのだ。
### [[🎞️『インファナル・アフェアⅡ 無間序曲』]]
そして二作目の[[🎞️『インファナル・アフェアⅡ 無間序曲』]]。

一作目で[[🎞️『ディパーテッド』]]の内容に近しい物語は完結していたため、一体何をやるのやらと思いながら観始めるとなるほど過去編。
そもそも一作目がサスペンスとして極めて高いエンタメ性を持っているのは、互いの組織に入り込んだうえで二人とも組織内でのし上がっているというある種のご都合主義が前提としてあるからだ。
だからこの二作目では、それらご都合主義の補完が行われる。第一作目の面白すぎる構造が成立するまでの物語だ。
その展開はいわゆる諜報ものとしての色が濃く、複数の組織と人物の思惑が観客にも明かされぬまま進行していくため、誰を信じればよいのか主人公たちとともに分からなくなっていく。その不明瞭さから一作目の「分かりやすいエンターテインメント」とは方向性の異なる面白さが味わえる。
1997年の香港返還も背景として描きながら、引くに引けない立場に追い込まれ、そして一作目へと導かれるまでのセッティングが完了するまでが描かれる。
それでいながら、一作目の主人公とは異なる、もう一組の二人の男の関係性がより濃厚に描かれる。この点は最初のシークエンスからカマしており、痺れた。
面白さでは一作目が勝るが、深みがあるのはこの二作目だろう。
### [[🎞️『インファナル・アフェアⅢ 終極無間』]]
そして最終作の[[🎞️『インファナル・アフェアⅢ 終極無間』]]。

一作目のその後の物語であり、「生き残ってしまった者」の最後のあがきが描かれる。
誰が敵で誰が味方か分からない、そんなストレスの中で生きていれば(つまり死ななければ)、精神が先に壊れてしまう。次第に映画の中に登場人物の妄想が入り込み、今度は「それが現実かどうかも分からない」という新たな複雑さが導入される。ここに来て一作目の「分かりやすいエンターテインメント」から遠く離れた地点にシリーズは到達する。
このように、[[『インファナル・アフェア』シリーズ]]を通して観ると、人物配置と「潜入捜査官もの」というジャンルはそのままに、だんだんと分かりにくい映画となっていくのだ。そんなシリーズの作り方の面白さに魅了されながら、眠気との戦いであるオールナイト映画としては実は相性が悪いのではないかと思ったりした。

## 情報
![[🎞️『インファナル・アフェア』#予告編]]
![[『インファナル・アフェア』シリーズ#関連ノート]]