# 2026-05-20 [[🎞️『POCA PON ポカポン』]]を観る
![[ネタバレ#^warning]]
## 感想
劇場で鑑賞。

>[!info]
> ![[🎞️『POCA PON ポカポン』#概要]]
### 五月蝿い部屋、静かな交流
昨年の個人的ベスト映画である[[🎞️『海辺へ行く道』]]の主演である[[👤原田琥之佑]]さんの主演作ということで観に行く。
場所は[[📍K's cinema]]。最後に訪れたのは[[🎞️『カメラを止めるな!』]]以来だから実に9年ぶりである。
主人公は中学生の健太([[👤原田琥之佑]])。彼が暮らす団地に住む管理人の大楠([[👤尾関伸次]])との交流が描かれる映画であるが、そこここに不穏さが漂う。
分かりやすいのが健太の隣の部屋から響く音。
どうやら半年ほど前から時間帯によらず壁を叩く大きな音が鳴り始めたようで、母親との関係に暗雲が立ち込めるタイミングで響く音は決定的に二人の距離を遠ざける。
その隣人も中盤まで画面に姿を見せないが、ただベランダの壁越しに見えた足に巻かれたアンクレットが後の展開に効いている。
もうひとつの不穏さが団地にまつわる噂。
[[神戸連続児童殺傷事件]]を想起させる事件を28年前に起こした「少年A」がこの団地に住んでいるのだと。隣に住む人、隣に座る人が過去にどのような経験をしたのか、私たちは知りようがない。団地という、「人が密集して生活する場所」特有の気味の悪さがある。
個人的にお気に入りのシーンをひとつ。
ゴールデンアワーの中、団地近くの階段に座って語らう健太と大楠のシーンはまるで異界に迷い込んだかのような極端な黄色の[[カラーグレーディング]]が印象的だ。
「この街から出たことがない」という大楠のセリフも場面の異界感を強める。その言葉は、彼が背負い込んだ何かから逃げまいとするためか。同時に、シングルマザー世帯でお金のない健太もまたきっとこの街から出られないのだろうという諦観を抱いており、二人は静かに共鳴する。
### 生きているだけで誰かに影響を与える
中盤にある大きな展開を経て以降、健太と大楠は基本的に面と向き合って再開することはない(と、思われる)。
ただし明らかに健太は大楠に対してある特別な感情を抱いている。そのことが周囲にも伝わる。その結果、健太は人々から疑念、恐怖、激怒などの感情を引き出すことになる。
そんな映画を観ながら私はいつも考えていることに思いを巡らせていた。
ずばり、表現と影響の関係だ。
私がいま・ここで繰り出す行動(アクション)は、過去に影響を受けたすべての集積から導かれている――のかもしれない。
影響元となるのは人かもしれないし、映画かもしれない。両親、友人、好きなゲームのキャラクター。思い出、学習、物語……。
そうしたものが私がいま・ここでの発想を生み出し、その発想がまた新たにこの世界へ新たな影響力を生み出す(かもしれない)行動を促す。この文章をしたためていることもそうだろう。
大楠が健太に与えた多大な影響。それが今後健太に新たな大きな行動を促すのかも知れない。
その行く末は分からないが、健太の最後の台詞には思わず体温が下がるものであったことは確かだ。
### 「ポカポン」
謎の響きがするタイトル[[🎞️『POCA PON ポカポン』]]。
この「ポカポン」という語はある共通項を三人の人物が口にする。であればオープンエンディングの後に起こることは――と思いを巡らせることもできる仕掛けだ。
この「ポカポン」という言葉はまた、登場人物がふと口ずさむ歌に乗っかっているようで、だけど誰もその歌をどこで知ったのかも覚えていない様子。
他者に影響力を働かせるのは人間が意識的に取る行動だけではなく、無意識的に現れる癖のようなものにも潜んでいるのかもしれない。
だからある人間が今後どういう振る舞いをするかは、どこまでいっても予測不能だ。それに繋げてみると本作で象徴的に画面に漂う蝶は[[バタフライエフェクト]]を想起させる。
ある意味でこの「未来の予測不能性」こそが本作が描く一番の不穏なものなのかもしれない。
## 情報
![[🎞️『POCA PON ポカポン』#予告編]]
![[🎞️『POCA PON ポカポン』#主要スタッフ]]
![[🎞️『POCA PON ポカポン』#関連リンク]]