# 2026-05-21 [[🎞️『君のクイズ』]]を観る
## 感想
劇場で鑑賞。

>[!info]
> ![[🎞️『君のクイズ』#概要]]
### 映像化の難しさ
「ビューティフル、ビューティフル、ビューティフルライフ♪」
本作が提示する謎であるゼロ文字正答の問題となった**ママクリーニング小野寺よ**のCMソングだ。
原作既読なので、あの非常に内省的な内容(推理はほぼ主人公の部屋を出ることなく展開される)をどのように映像化し、脚色するかに着目していた。
>[!check]
> 一気読みするほど面白い小説だが、多分そのまま映像化しても動きが少ない地味な映画になるだろうと思っていた。
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> - [[2026-01-19 📘『君のクイズ』を読む]]
その中でも特に成功していると感じるのが、予告編でのママクリーニング小野寺よのCMソングの使い方だ。
![[🎞️『君のクイズ』#予告編]]
「謎がある」と提示され、それに右往左往される人物を映した後に、このテレビで流れる何の変哲もない(ちょっと古臭い)ローカルCMソングが流れると、明るい曲調なのに何故か不気味に聞こえてくる。[[異化効果]]というやつだ。
原作にある要素を、それも小説という媒体では伝わりきらない「音楽」を駆使することで、かなり引きのある予告編になっていると思う。
さてそれでは本編。
原作からの一番大きな脚色は、「ゼロ文字正答がなぜできたのか」ということ自体を検証番組としてショーとする、という推理の中身を変えずにそのガワを変えたところだ。
そうすることで画面に映るものはそもそもテレビで放映することを想定した「ショー」となるため、映像として映えるものになる。
さらに、原作にもあった「クイズ論」ならぬ「クイズ”番組”論」の部分をよりストレートに語ることができる。
ずばり、==クイズプレイヤーをテレビ映えする被写体にするにはどうすればよいか==? という方法論をそのまま映像で見せることができるのだ。
なるほどこれはよく考えられているが、もちろんリアリティの面ではツッコミどころが多い。
結論が出るのか出ないのか分からないような検証を生番組として行うのはリスキーすぎないかとか。
途中顔出しNGで出演するある登場人物の出現という番組側が予期しないイベントがなければ手詰まりだっただろうとか。
それもこれも、事件のきっかけとなったクイズ番組の**Q-1グランプリ**が社会現象レベルで炎上した、注目を受けていたという作中世界の雰囲気を描くことで説得力を演出しようとしている。個人的にはそれが成功しているとはあまり感じられず。
特に、Q-1グランプリというクイズ番組自体が社会現象を起こすレベルで視聴率を稼げていなければ話がはじまらないということもあり、そこも上手くいっているかというと首を傾げるところがある。ずばり、テレビ番組としてあまり面白くなさそうに見えてしまったのだ。
シチュエーション自体は面白いが、そのシチュエーションに確かな現実味を抱けるかで中身にノレるかの分水嶺になるかもしれない。
原作はそこを劇的に盛っていないからこそ謎一本で一気に読ませるソリッドな作りで強い吸引力を構築していたんのだなと感じた。
もちろん全体的な筋としては原作通りだし、個人的にファンで追っている[[👤吉野耕平]]監督×[[👤中村倫也]]主演という鉄板の座組であることもありキャラクター描写は光る。
しかし「検証番組」という建付けにしたことで生じる無茶や、ところどころ脱線している感じがするテンポの悪さは確かにあったと感じた。同監督作品で同じくテレビ業界内幕もの的な要素もある[[🎞️『ハケンアニメ!』]]と比較すると目減りすると感じた。
### なぜ、[[🎮️『UNDERTALE』]]の扱いが大きくなったか?
予告編にちらりとゲーム画面が映るが、[[🎮️『UNDERTALE』]]を答える問題は原作でも取り上げられている。原作ではさらりと取り上げられるだけだが、映画版では脚色によってその存在感をより大きくしている。
これは主人公にとってのある記憶に紐づかれたゲームであり、それをクイズで答えるということはどういうか、ということが遠回りに「ゼロ文字解答」の謎、そして作品全体のテーマへと繋がっている。
もちろんこの映画版でもそこを拾っており、[[Nintendo Switch]]版のパッケージもちらりと映り、多くは語れないがある粋な形で[[🎮️『UNDERTALE』]]のタイトルが表示される。
だから思わず私も[[🎮️『UNDERTALE』]]のサントラを聴きながら帰途についたのであった。何を隠そう[[🎵『Hopes And Dreams』]]の前奏を聴くだに涙腺が緩む程度には私も[[🎮️『UNDERTALE』]]ファンなのだ。
原作に関わる話であるが、あらためて「なぜ[[🎮️『UNDERTALE』]]をフィーチャーしたか」を考えてみたい。
あまりいないと思うが、[[🎮️『UNDERTALE』]]をまったく知らない方向けに説明すると、この作品はRPGでありながら出てくるモンスターたちと戦ってもいいし、対話を通して平和的に戦闘を回避することもできるゲームだ。
戦うか、回避するか。この二者択一を繰り返すことで主人公の在り方が変わり、そしてエンディングが変わるのである。
[[🎞️『君のクイズ』]]という映画全体のテーマとして、「クイズ」というルールに則ったゲームを拡張し、「人生」という一見してルールのない領域においても正解を積み重ねていけば勝者(幸福)になれるだろうか? という問いがある。
あのとき、正解の言動を取れていれば、今はこうなっていなかったのではないか。すべての人生にとっての問題でありこの問いが万人にとって共有の難問だからこそ、近年の[[タイムループ]]ものの創作が溢れているともいえる。
本作は直接的にその答えを提示しないが[[🎮️『UNDERTALE』]]は自らの振る舞いという回答によって、その結末が変わるということ、そしてその結末に絶対の正解を持たせていない作品だ。
確かに大団円と呼ぶに相応しいエンドはあるが、一方で誰も幸せになれないけれど世界の真の秘密に触れるエンドもある。どちらが「正解」か? と問われると困る作品であるし、そもそも「正解」云々という作品でないような気もする。
だからこそ「人生はクイズなのか」という問いの中に[[🎮️『UNDERTALE』]]を放り込むことで下手な断言が避けながらテーマをより複雑な深みを加えているように感じた。
ただし、登場人物が[[🎮️『UNDERTALE』]]のある場面をプレイしながら涙ぐむ、というシーンがあるのだけれど「そこってそんなに泣くところか?」と思ったのは私だけではあるまい。
## 情報
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