# 2026-06-04 [[🎞️『シンプル・アクシデント/偶然』]]を観る
## 感想
劇場で鑑賞。

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### 報復の連鎖
復讐は難しい。本当に難しい。あの[[ジョン・ウィック]]ですら報復の連鎖すら許さぬ完璧な復讐を達成できないというのに、どうして復讐を軽々しく是と言えるだろうか。
かつて不当な逮捕で投獄された主人公**ワヒド**([[👤ワヒド・モバシェリ]])は、そこで彼を拷問した看守**エグバル**――と、思われる男([[👤エブラヒム・アジジ]])と出会う。
というのも、拷問中は目隠しをされておりその見た目を知らないのだ。しかし、ワヒドには復讐の相手を識別するための方法がひとつだけあった。義足を引きずるような足音だ。
ワヒドは強引な方法でその男を拉致し、生き埋めにしようとするのだが、IDカードには聞いていた名前とは別の名前が。男も「人違いだ」と抵抗する。
確信を持てなくなったワヒドはいったん復讐を中止して、彼が本当にエグバルか、それとも人違いなのかを確かめるために奔走することになる。
ワヒドは同じくエグバルの拷問を受けた人たちを辿っていくのだが、それぞれがエグバルを識別する方法を持っている。
その臭いや、義足の感触を彼ら彼女らが知っているということが、それぞれどのような拷問が加えられたのかを暗に語っている。
それぞれがそれぞれの方法で「エグバルに違いない」と思いはするが、やはり確信には至らず、観客もクライマックスまでその真偽は分からないままサスペンスは続いていく。
そんな重いドラマの合間にも、現代イランの在り方やイスラム社会の風習を味付けにどこかコミカルに描かれる。
明日、結婚式を迎えるための写真撮影をしていた**ゴリ**([[👤ハディス・パクバテン]])もまたエグバルの被害者なのだが、その道中ずっとウエディング姿で街を駆け回り、それに対する周囲の反応も笑いを誘う。
またとある電話をきっかけに生じるサブエピソードは拷問とその復讐を描いた映画としては意外なほどにハートフルな方向へと進んでいく。
しかしそんな珍道中の終点に当たるクライマックスでは、男に対する厳しい詰問による真相解明がなされる。
ここでのショットは車のテールランプで赤く照らされる男を中心に展開する長回しで、観ているだけでもひどく疲弊する地獄のような場面だった。
そこで明かされた事実と、それに直面したうえでの選択。それを見届けると映画もエピローグに入り、どこか不穏な空気が続いたまま、あのラストの「音」である。ホラー映画ではないが、あれほど恐ろしい音演出もなかなかない。
## 情報
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