# 2026-08-01 [[🎞️『大統領のケーキ』]]を観る
## 感想
劇場で鑑賞。

>[!info]
> ![[🎞️『大統領のケーキ』#概要]]
### イラクを観る
大統領の誕生日を祝うケーキを作るために9歳の少女が街を冒険する。
確かにそのような内容の映画なのだが[[📺️『はじめてのおつかい』]]のようにはいかない。舞台は1990年代のイラク。[[👤サダム・フセイン]]大統領による独裁政権下で、国連からは経済制裁を受けており、アメリカ空軍による空爆が続くという環境下だ。「ハラハラ」の質がまったく異なるのである。
それでもこのフォーマットの映画が楽しくないはずがなく、ケーキの材料を求めて街を駆け回る**ラミア**([[👤バニーン・アハマド・ナーイフ]])が頑張る姿は何もかも足りていない環境下にあってそれでも世界を眩く見せる。
とにかく撮影が見事な映画だった。
湿地帯に暮らすラミアたちは船での移動がメイン。[[シネマスコープ]]の横長の画面に河を渡る船がよく映える。
舞台を街に映してからも、そもそもイラク映画自体を初めて目にしたこともあり、イラクの街並みは目新しく映った。
単に美しい撮影だけでなく、印象的なカメラワークも多い。例えばラミアがモスクで礼拝をするシーンでは、彼女の身体に隠れる背後で様々な事態が発生していることをワンショットで切り取っており、コメディともサスペンスとも取れる面白いシーンだった。
### ケーキは甘いが映画は苦い
もちろん恐ろしい場面もある。ふくらし粉を餌にラミアを映画館に連れ込もうとするおじさんのシークエンスではあと一歩進めば暗黒というギリギリを不穏に映し出す。少女への性加害を臭わせ、かなりキツいシーンだ。
そして轟音を立てて上空を抜けていく爆撃機の影。街には負傷者や失明した人たちが数多くいて、幼いラミアがその意味をどこまで理解できているかは分からないが、戦争による傷がそこここに見られる。ラミアの冒険は、そんな戦争の引き金を引いた指導者に捧げるためのケーキを作るために生じたものであることを思うとやるせない。
そして、爆撃のシーン。どのタイミングでそれが起きるかはここでは伏せるが、そのショッキングな爆発と、そこでラミアが同級生の男の子と取るアクションに、文字通り目が離せなくなった。
ケーキを作る話なのに、こんなにも苦いことがあろうかと。大統領の誕生日に捧げるケーキを作るという具体的かつ興味深いエピソードを元に、子供の視線を通して戦争が破壊するものを印象強く描き出した傑作だった。
## 情報
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