# 2026-08-29 [[🎞️『時には懺悔を』]]を観る
![[ネタバレ#^warning]]
## 感想
劇場で鑑賞。

>[!info]
> ![[🎞️『時には懺悔を』#概要]]
### 壊れた家族の西島秀俊、親子愛揺さぶり芸の中島哲也
[[🎞️『ドライブ・マイ・カー』]]や[[🎞️『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』]]と、近年の[[👤西島秀俊]]は「壊れた家庭」の夫/父親という役がよく映える印象がある。それに加えてどこか不憫さを誘う大型犬系の顔立ちは、悪へと落ちていく[[ノワール]]との相性もいい。
そんなわけで事前情報をほとんど入れずに臨んだ本作の冒頭から、私は[[ノワール]]系の作品だだろうかと感じた。「時には懺悔を」というタイトルもいかにもそれっぽい。
冒頭の[[👤満島ひかり]]のモノローグ、探偵殺しの事件を調べる探偵、そして娘と言葉がまるで交わされない家庭――過去の[[👤中島哲也]]監督作でいえば[[🎞️『渇き。』]]の方向だろうかと。
しかし、中盤以降は思っていた以上に家族ドラマへとハンドルが切られる。
殺された探偵([[👤佐藤二朗]])が最後に追っていた人物を調査すると、行き着いたのは9年前に起きた新生児誘拐事件だった。そこから浮かび上がるのは、誘拐された重い障害を持つ子どもと、その子を育てる父親([[👤宮藤官九郎]])。血の繋がりがないことが確定している「偽物」の家族である。
ところがその家族を調査する者たちは、いつしかその偽物に「本物」の親子の絆を見出していく。そしてそれは、彼ら自身が抱える壊れた家族を見つめ直すことにも繋がっていく。
この題材はいかにも[[👤中島哲也]]らしい作品選びのように感じた。
彼が描くドラマの多くは「家族」や「親子愛」なるものに対する疑いの目が向けられる。
[[🎞️『渇き。』]]では、ファミレスの片隅にネグレクトを思わせる親子を置くことで、その空間そのものに嫌な空気を充満させる演出をしていたことを思い出す。
[[🎞️『来る。』]]では、「イクメン」を気取りたいだけで育児にはまるで参加しない父親の存在が、家族の不和を強め、怪異を増幅する土壌として機能していた。
「親子愛」を無条件で信頼することを拒み、そこに疑いの目を向ける。そして「壊れた家庭」をスクリーンに映すことによって、[[👤中島哲也]]は「家族」にまつわる観客の価値観を揺さぶることに長けてきた。本作はその揺さぶり芸の真骨頂といった感がある。
彼が得意とする過剰にポップな画面演出で観客を挑発する作風を封じ込め、役者の演技でもって「偽物」と「本物」の対比によって浮かび上がる「神」あるいは「愛」といったものを現出させようと試みた野心作だと感じた。
### 懺悔
念のため、この話題にも触れておこう。
本作はもともと2025年6月公開予定として発表された。それが一年以上も延期されたのは、2014年公開の[[🎞️『渇き。』]]における撮影時のトラブルが再び問題となり、製作委員会が第三者の立場から調査・検証を行うことになったためだ。
>[!check]
> 公開延期の報告。
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> - [OFFICIAL NEWS 最新情報 — 映画『時には懺悔を』公開延期のご案内](https://tokizanmovie.tumblr.com/post/782060326656131072/%E6%98%A0%E7%94%BB%E6%99%82%E3%81%AB%E3%81%AF%E6%87%BA%E6%82%94%E3%82%92%E5%85%AC%E9%96%8B%E5%BB%B6%E6%9C%9F%E3%81%AE%E3%81%94%E6%A1%88%E5%86%85)
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> 撮影時トラブルの詳細と、その問題を受けての取り組みについては以下の記事が詳しい。
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> - [中島哲也監督、14年「渇き。」巡るトラブル謝罪受け7年ぶり新作「時には懺悔を」製作委員会説明 - シネマ : 日刊スポーツ](https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202501210000819.html?mode=all&utm_source=chatgpt.com)
そこでは[[👤中島哲也]]監督が意図的にA子さんとの編集に関する約束を履行しなかった事実と、露出を強要したと認められる事実はいずれも確認されなかったとしている。
その上で、監督からA子さんに対して、コミュニケーションが十分ではなく配慮が足りなかったとして謝罪があり、双方の間で和解が成立したとされる。

そこにもうひとつ、本作に出演した[[👤佐藤二朗]]と別のドラマの共演者との間で起きたやはり撮影現場におけるトラブルが今年7月に報じられた。何ともいえぬ巡り合わせである。
本作における[[👤佐藤二朗]]のパフォーマンスは素晴らしく、[[👤西島秀俊]]演じる主人公に先立って「神」あるいは「愛」なるものを目撃した男として、出番は少ないながらも映画に深みをもたらす役割を好演していた。週刊誌や[[ソーシャル・ネットワーキング・サービス|SNS]]での空中戦ではなく、当事者間で誠実に解決へ向かうことを望む。
## 情報
![[🎞️『時には懺悔を』#予告編]]
![[🎞️『時には懺悔を』#主要スタッフ]]
![[🎞️『時には懺悔を』#関連リンク]]