# 2026-09-23 [[🎞️『八つ墓村』(2026年)]]を観る
![[ネタバレ#^warning]]
## 感想
劇場で鑑賞。

>[!info]
> ![[🎞️『八つ墓村』(2026年)#概要]]
### 清水崇スペシャル
[[🎞️『口に関するアンケート』]]にはじまり、[[🎞️『だぁれかさんとアソぼ?』]]を経由して、[[🎞️『八つ墓村』(1977年)]]で幕を閉じた。
すべて[[👤清水崇]]監督作だ。わずか三ヶ月のあいだに同監督の新作を三連続で鑑賞する機会は初めてだった。個人的には、[[🎞️『八つ墓村』(2026年)]]が頭ひとつ抜けて好ましい映画だった。
>[!check]
> 2026年の夏は[[🎞️『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』]]だった? それとも[[🎞️『オデュッセイア』]]? いやいや、[[👤清水崇]]だろう。
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> - [[2026-07-03 🎞️『口に関するアンケート』を観る]]
> - [[2026-07-25 🎞️『だぁれかさんとアソぼ?』を観る]]
鑑賞場所は[[📍新宿ピカデリー]]。77年の[[🎞️『八つ墓村』(1977年)|野村芳太郎版]]との連続上映で、終了後には監督含むゲストによるトークショー付きである。

本作に臨むに当たって[[📘『八つ墓村』|原作]]をはじめて読み、直前に今回の新作にも大きな影響を与えている野村版を鑑賞できたことは大きかった。
[[ソーシャル・ネットワーキング・サービス|SNS]]では「アレンジされ過ぎているから原作は読まないほうが良いかも」という意見が優勢のように思うが、個人的には大胆過ぎるアレンジによって生じた前半部分の改変によって「ここからどう話が転がるか分からないぞ」という面白さが生じていた。
まあ、原作に対する思い入れがそれほどないからこその意見かもしれないが。
そもそも野村版からして原作とかなり違うし、なんならジャンルをずらすような脚色までしている。
原作が「八つ墓村の祟り」というオカルトをバックボーンとしてミステリーをしている一方で、野村版はそこに更なる一捻りを加えてミステリーからオカルトホラーへ回帰してみせる。
そんな過去の映像化を前提に、現代のJホラー監督の筆頭である[[👤清水崇]]が再映画化をするとなれば……その結果は推して知るべし。
### オカルトを前にしては名探偵もたじたじ
本作は色々と原作から改変されているが、そのひとつとして探偵役である**金田一耕助**([[👤尾上松也]])の扱いを取り上げたい。
原作の感想でも触れたが、実は[[📘『八つ墓村』]]において金田一はほとんど活躍しない。たまに現れては主人公である**辰弥**([[👤奥智哉]])の潔白の証明をアシストし、最後に事件の全容を総括する役割に徹していた。
>[!check]
> 金田一自ら「こんどのこの事件では、ぼくにいいところは少しもなかった」と語っている。
>
> - [[2026-09-10 📘『八つ墓村』を読む]]
対して今回の映画版では金田一は最初から最後まで出ずっぱりで、辰弥とはバディ的な関係性を結んで八つ墓村の事件に挑む。金田一耕助の飄々とした佇まいはそのままに、[[👤尾上松也]]の演技による愛嬌も足されていて見ていて気持ちの良いキャラクターに仕上がっていた。
そんな可愛げのある金田一像だからこそ、終盤に述べる「名探偵」としては失格といってもよいある台詞に説得力が生じている。そこをして「こんなの金田一じゃない」と原作ファンは言うかもしれないが、個人的にはその台詞に[[🎞️『女神の継承』]]終盤のある展開に似た絶望感から生じる面白さがあった。ここから先は名探偵([[🎞️『女神の継承』]]でいえば祈祷師)でもブレーキをかけることができない、真の混沌がはじまることを告げていたのだ。
加えて、オカルト味が何倍にも増した八つ墓村の連続殺人事件をきちんと総括するという、原作同様の役割も果たしていた。
それはもはや論理では説明不要となった事件の全容を探偵として暴くという形ではなく、事件を通じて辰弥が得た気付きに対して背中を押すという形でだ。あのラストを思うと辰弥とのバディ感のある関係性も機能していたといえるだろう。
### トークショー
終映後のトークショーについても軽く記録しておこう。
登壇者は[[👤清水崇]]に加え、映画評論家の[[👤樋口尚文]]と、今作と野村版の両方に出演している[[👤五頭岳夫]]。
[[👤清水崇]]監督いわく、[[👤五頭岳夫]]さんが野村版に出演していたことは知らずにキャスティングしたらしい。[公式コメント](https://movies.shochiku.co.jp/yatsuhakamura-movie/news/260821info/)によれば、戦国時代に落ち武者であった尼子義孝らを襲撃する村人役だったと述べているが、トークショーでは田治見家へ挨拶に来る親族のひとりとしても出演していたと語っていた[^1]。
今回の金田一のキャラクターについては、清水監督は自身の抱える子供心のようなものを付け加えていると語る。中盤、金田一が橋の上から親子が戯れるのを眺める姿に、その大人になれなさと、ゆえに誰とも一緒になれないある種の狂気を表現していたという。
>[!check]
> 総合プロデュースを務めた[[🎞️『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』]]のトークショーでも自身の子供心が現在もホラーを作り続けている原動力であることを語っていた。
>
> - [[2025-01-25 🎞️『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』を観る]]
トークショー後はパンフレットにサインを頂けるということで参加。
少し話ができたので、「僕は原作では典子が好きだったので(野村版と異なり)今回出てきて嬉しかったのに……」みたいな話題を振った。
清水監督自身も典子は好きで、ファンの多いキャラクターだけにその扱いには思い切った判断が必要だったと語っていた。個人的には、典子周りの改変によって後の展開がどう転ぶのかさっぱり分からなくなったところがスリリングだったと伝えた。
## 情報
![[🎞️『八つ墓村』(2026年)#予告編]]
![[🎞️『八つ墓村』(2026年)#主要スタッフ]]
![[🎞️『八つ墓村』(2026年)#関連リンク]]
[^1]: 現在は[[U-NEXT]]で野村版が観られるので確認。44分36秒からはじまるシークエンスに映っており、そのシークエンスの終わり際である47分10秒あたりで立ち上がる男性だそう。