# 2026-10-15 [[📘『九月はもっとも残酷な月』]]を読む
## 感想
>[!info]
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9月には間に合わなかったけれど。
[[🎞️『福田村事件』]]公開から約一年後に刊行された[[👤森達也]]監督のエッセー集だ。9月中頃に次に何を読もうかと[[Kindle]]を漁っていたところ積んでいるのを発見。タイトルからして今読むのに相応しいし、記憶が薄れたいま、あらためて[[🎞️『福田村事件』]]について考えるとっかかりとなるだろうと読み始めた。
[[🎞️『福田村事件』]]はタイトルの通り[[福田村事件]]を題材とした劇映画だ。1923年9月6日に発生した関東大震災の混乱のなか、香川県からやってきた薬売りの行商人15人のうち9人が地元の自警団らに殺害された事件である。
事件の背景には、震災に乗じて「朝鮮人が井戸に毒を入れた」などといった根拠のないデマが社会に蔓延していたことがある。行商人たちが話す讃岐弁が聞き慣れない言葉だったことなどから、彼らは朝鮮人と疑われ、襲撃される。
森監督は[[オウム真理教]]を題材としたドキュメンタリーを撮るなかで「ある集団が他者の殺害という一線を越えるに至るメカニズム」について考えはじめ、長年その思考を巡らせてきた。そのことが、収録されたエッセーの数々から伝わってくる。
だからこそ、その思考を作品として形にするうえで、福田村事件ほど相応しい題材はないのだと改めて思った。虐殺の加害者はごく普通の村民たちであり、被害者は疑心暗鬼の対象であった朝鮮人ですらなかった。それでも虐殺は起きたのだ。一体何が、普通の人々に「殺人」という一線を越えさせるのか。
一方で、各エッセーには「[[🎞️『福田村事件』]]を撮った監督」としての一面以外が表れたものも面白い。
もちろん「映画監督」としての顔が色濃く出ている話も多い。
[[モンタージュ]]理論に始まり、その理論を活かした間接話法の力を信じるがゆえに、ティーチインや舞台挨拶などといった、作品について直接何かを語らなければならない場をできるだけ避けたいと述べている。
そういえば、私は[[📍テアトル新宿]]で舞台挨拶付き上映を観たが、そのときは脚本家がメインで監督は出席されていなかったことを思い出した。
時事評も多い。
特に、2023年10月7日のハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃と、それに続くイスラエル軍のガザ地区への攻撃については、繰り返し言及されている。
森はパレスチナ難民キャンプへのホームステイの経験などを交えながら、ガザを中心に起きている事態はあまりに非対称であり「戦争」とは言えないと述べる。アメリカに従属する日本のメディアが発するニュースでは手触りが感じられない、自らの経験に根ざした意見の強さには打たれるものがあった。
## 情報
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