# 2026-10-17 [[🎞️『オデュッセイア』]]を観る ![[ネタバレ#^warning]] ## 感想 [[IMAX#IMAXレーザー/GTテクノロジー|IMAXレーザー/GTテクノロジー]]シアターで鑑賞。 ![Xユーザーのこーしんりょー@SpiSignalさん: 「『オデュッセイア』観た。IMAXレーザーGT。人類の歴史は報復の連鎖の歴史であり、この映画ではその報復の起点をゼウスの掟を破壊したトロイア戦争に求める。大海に飲み込まれるような映画体験。」 / X](https://x.com/KO_SHIN_RYO/status/2111377076507050241) >[!info] > ![[🎞️『オデュッセイア』#概要]] ### やっと観られた 公開から一ヶ月。なかなか鑑賞できなかった。 初回は絶対に[[📍グランドシネマサンシャイン 池袋]]の[[IMAX#IMAXレーザー/GTテクノロジー|IMAXレーザー/GTテクノロジー]]シアターで観ようと決めていたのだが、この座席がなかなか取れないのだ。 たとえば土曜の回の席を予約しようとしたとき、プレミアム会員ではないので三日前に当たる水曜日の21時から予約が可能になるのだが、アクセス過多により数十分間はリロードを繰り返す必要がある。よしんばアクセスできたとしても車椅子席以外は全滅ということもあり、数十分の粘りが無に帰すのである。 いつも言っていることだが、[[📍グランドシネマサンシャイン 池袋]]は[[IMAX#IMAXレーザー/GTテクノロジー|IMAXレーザー/GTテクノロジー]]が関東ではここだけしかないことを自覚して、その施設をフルに活かせる映画に枠を割いてほしいものである。 まあ、色々と大人の事情があるのはわかるけれども……。[[🎞️『ゴジラ-0.0』]]はどうなることやら。 ### ギリシア神話と古典 さて[[🎞️『オデュッセイア』]]である。「さて~である」と、さも精通しているかのように書きはじめたがまったく触れたことはない。 ちょうど現在高校世界史を勉強し直していて、この原作は最初の方に出てくるギリシア文化の文学作品の一つとして名前が挙がっている 文学作品といっても、小説ではなく叙事詩である。なのでそれは口伝されたものであり、この映画の中でも「詩として残る」とメタ的な発言がされており、実際に現代まで伝承された物語がこの映画へと繋がっていくというギミックになっている。 主人公は[[トロイア戦争]]で活躍した**オデュッセウス**。智将であり、現代だと[[マルウェア]]の種類のひとつである[[トロイの木馬]]の由来となった作戦を考案したとされる。 本作は全編にわたってトロイア戦争に勝利したオデュッセウスがなんとか帰郷しようとするのだが……というお話だ。 その冒険の途中には[[キュクロープス]]や[[セイレーン]]、[[キルケー]]といった神話級の存在が続々と登場する。 その一方で、ギリシア神話における最重要の神々である[[オリュンポス十二神]]は直接姿を現さない。しかし[[ゼウス]]は雷に、[[ポセイドン]]は嵐となってオデュッセウスに立ちふさがる。この「何を描くか」のバランスは、人間には抗えない自然現象を神の力の表れとして捉える神話観の表れとして受け取った。 ### 彼もまた超人ではない オデュッセウスは海を渡って陸を見つけては食料を獲得しようと上陸し、そのたびに返り討ちにあって敗走する、というパターンを繰り返す。 ここでオデュッセウスは決して万能な智将ではない、というキャラクター付けが繰り返される。せっかく逃げられそうになったところで[[キュクロープス]]に余計な一矢を射ったばかりに追いかけ回されるところなど実質コメディの手つきである。 そうした描写の積み重ねにより鑑賞者の中でオデュッセウスもまた特別でない普通の男なのだと置き直され、だからこそ終盤の人間的な葛藤が効いてくる。この構図は[[🎞️『オッペンハイマー』]]にも通ずる。 思い返せば[[👤クリストファー・ノーラン]]の主人公は超人的な能力や使命をその身に宿しながら、執着や恐怖といった人間的な弱さに直面する人物が多い。[[🎞️『バットマン ビギンズ』|スーパーヒーロー]]を描いても、[[🎞️『インセプション』|スパイ]]を描いても、[[🎞️『インターステラー』|宇宙飛行士]]を描いても、最後には人間味が表に滲み出る。だから伝記や、さらには古典で描かれる伝説上の人物は格好の的というものだ。 オデュッセウスが本作で直面する葛藤とはなにか。それは、人類史のひとつのはじまり。報復の連鎖だ。 本作は繰り返し「ゼウスの掟」について言及される。よそからやってきた<ruby>客人<rt>まれびと</rt></ruby>は神様であるかもしれないから分け隔てなく厚くもてなすこと。この掟は、作中において人類が愚行へと走らないためのブレーキの役割を果たしている。 しかしオデュッセウスはこの掟を破ってしまう。さすが[[マルウェア]]の名前になるだけあって、[[トロイの木馬]]はとんでもなく卑怯な策なのだ。 そのことに後から気づいたオデュッセウスには、[[コンバット・ストレス反応]]を思わせる症状が現れる。自分が犯してしまった罪の大きさに耐えられなくなったのだろう。本作において[[トロイア戦争]]は、報復の連鎖の最初の一撃として描かれているのだ。 オデュッセウスの帰りを待つイタケでも**アンティノオス**([[👤ロバート・パティンソン]])という、やはりゼウスの掟を軽んじる者が悪として描かれている。 10年にわたるオデュッセウスの冒険は、自らの罪を背負う覚悟に至るために必要な長さだったのだ。もちろん、この映画の172分という長さも、その葛藤を味わうために必要な長さなのであった。 もちろん長いは長いのだが、中だるみや退屈さをまったく感じさせない[[スペクタクル映画]]のお手本のような一作だった。 ## 情報 ![[🎞️『オデュッセイア』#予告編]] ![[🎞️『オデュッセイア』#主要スタッフ]] ![[🎞️『オデュッセイア』#関連リンク]]